「カセットボンベが尽きた夜」──高齢の母を守りたかった私の後悔
「ごめんね、もっと備えておけばよかったね…」
冷たい部屋の中、母が震える手で私の手を握りしめた夜。
あの日の後悔は、今でも胸に焼き付いて離れません。
2011年 東日本大震災
2011年、東日本大震災。
突然の大きな揺れに、私と母は必死で家の中を飛び出しました。
命は助かった。でも、そこからが地獄のような日々の始まりでした。
電気もガスも、水道も、すべてが止まりました。
それでも私は、「カセットコンロがあるから大丈夫」とどこか楽観的でした。
備えてあったカセットボンベは、たったの3本。
1本あれば何日かもつだろう――そう思っていたのです。
ところが、現実は違いました。
寒さで母が震え、お湯を沸かすたび、温かい食事を作るたび、
ガスはどんどん減っていきました。
そして、2日目の夜。
最後のカセットボンベが、カラリと音を立てて尽きたのです。
冷たい水しか飲めず、温かい食事も作れず。
高齢の母は、みるみる体力を奪われ、震えながら夜を明かしました。
「もっと…もっと備えておけばよかった」
後悔だけが、頭の中をぐるぐる回りました。
防災について必死に学ぶ日々
あれから私は、防災について必死で学びました。
そして知ったのです。
カセットボンベは、1週間生き延びるために最低でも12本以上必要だということを。
どうしてそんなに必要なのか?
理由はたくさんあります。
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ライフラインの復旧には、都市部でも平均1週間以上。
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調理だけでなく、体を温めたり、消毒したり、使い道が広い。
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1本あたりの持続時間はたったの1~1.5時間程度。
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寒い季節はガスの出が悪くなり、消費が増える。
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災害時は物流が止まり、補充はほぼ不可能。
特に高齢の家族がいる家庭では、衛生も、温かさも、命を守るために必要不可欠。
カセットボンベの不足は、命に関わる問題になるのです。
カセットボンベの必要数
私たち家族は、あの日の後悔を二度と繰り返さないと誓いました。
今では、カセットボンベを最低20本備蓄しています。
それに加えて、寒冷地用のボンベや予備のカセットコンロも準備しました。
大切な人を守れるのは、準備をした「今の自分」だけです。
守りたい人のために備える
あなたにも、守りたい人がいるはずです。
どうか、私たちのような後悔をしないでください。
「足りるだろう」ではなく、「十分すぎるくらい」備えること。
それが、愛する家族の命を守る力になります。
防災チャンネル安心こちゃんでは、
「家族を守る防災」の知識と情報を、これからもお届けしていきます。
あなたの大切な人のために、
今日から一緒に防災を始めましょう。
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