財布とスマホだけを持って、母は走った。〜防災グッズがなかった家族のその後〜

防災グッズ

「ママ、のど乾いた…」その声に、私は答えられなかった。

真夜中、揺れで目が覚めた。
「地震だ!」と叫んで、隣に寝ていた5歳の息子を抱きしめ、玄関に飛び出した。

手にしていたのは、スマホと財布だけ。

防災リュックなんて、用意してなかった。

「なんとかなる」と思っていた。
「避難所に行けば助けてもらえる」と信じていた。
でも、現実は違った──。


避難所に着いても、すぐには何ももらえなかった。

避難所にはすでにたくさんの人。

炊き出しはまだ。
水の配給も、物資の配布も「もう少し待ってください」と言われた。

何時間も並んで、ようやくもらえたのは
たった500mlの水、1本だけ。

息子が言った。

「ママ、のど乾いた…」

そのとき、私は初めて“ごめんね”じゃ済まないことをしたと気づいた。
母として、あの子の命を守る準備をしていなかった。


床に毛布もなく、冷たさが心に染みた夜

日が暮れると、冷え込んできた。
毛布も寝袋もない床に横になり、息子を胸に抱いて震えた。

「寒いね、ママ…」
「うん…大丈夫だよ」と笑ってみせたけど、
心の中では泣いていた。

子どもが体を丸めて震えている横で、何もできない自分が情けなかった。


眠れない夜と、知らない誰かの咳

避難所の夜は静かじゃない。

話し声、子どもの泣き声、咳。
誰かが咳をするたびに、病気がうつるんじゃないかと怖くなった。

衛生用品なんてない。
トイレは混み合って、汚れて、息子を行かせるのも怖かった。

「早く帰りたい」
「でも、家はもうないかもしれない」

不安が、じわじわと心をむしばむ。


「守れなかった後悔」を、誰にも味わってほしくない。

私たちは命があったから、こうして話せる。
でも、あの時本当に思った。

備えていれば、息子にあんな思いをさせなくて済んだのに。

この体験を、どうしても誰かに伝えたい。
同じような「後悔」をするお母さんを、ひとりでも減らしたい。


今すぐにでも準備してほしい、命をつなぐ10の防災グッズ

どんなに忙しくても、どんなに「大丈夫」と思っていても、
これだけは今すぐ揃えてほしい。

■ 1. 飲料水(1人1日2L×3日分)

配給は遅れる前提で。子どもが脱水になる前に、確保を。

■ 2. 非常食(栄養バランスの取れたレトルトや缶詰)

おにぎり1個で、子どもは元気に遊べない。

■ 3. 携帯トイレ

避難所のトイレは使えなくなることも。プライバシーも守れる。

■ 4. 懐中電灯・ヘッドライト

暗闇で子どもが転んで怪我をしないように。

■ 5. モバイルバッテリー

家族との連絡、災害情報、全部スマホでしか得られない。

■ 6. 耳栓・アイマスク

心を守るために、少しでも眠れる環境を。

■ 7. 毛布・防寒着

寒さは命を奪う。特に子どもや高齢者に必須。

■ 8. 衛生用品(除菌シート・マスク・タオル)

感染症のリスクを下げるためにも。

■ 9. ゴミ袋

使い道は無限大。簡易トイレや防寒にも。

■ 10. 常備薬

慢性疾患がある家族には、これが命綱。


家族を守る覚悟、それが「防災」です。

防災って、「特別なこと」じゃありません。
大切な人の命を守るために、今日からできる「愛情」の形です。

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