使えなかった防災グッズ
「ママ、なんでこの大きなライト持ってきたの?」
避難所の冷たい床の上で、娘がポツリとつぶやいたその一言に、私は何も言い返せなかった。
あの日、大きな地震が起きて家が傾いた。パニックになりながら、私は用意していた防災リュックを掴み、家族を連れて避難した。中には、万全だと思って揃えた防災グッズがぎっしり詰まっていた。
だけど――。
実際の現場で、役に立たなかったものが、いくつもあったんです。
例えば、大型のランタン。明るくて便利だと思って買ったけど、重くて持ち運びにくい。結局使ったのは、スマホのライトと、小型の懐中電灯でした。
浄水ボトルもそう。災害時には自治体からペットボトルの水が配られて、使うタイミングさえなかった。
「これも、あれも、いらなかったかもしれない…」
自分を責める気持ちと、娘を守れた安堵が入り混じる中、私は心に決めました。本当に必要なモノだけを選び直そう。命を守るために。
なぜ使われなかったのか?5つの理由
1. 実用性を誤解して購入
広告やレビューが良かったから…だけではダメ。多機能なツールは使いにくく、シンプルなアイテムの方が役立つことが多いのです。
2. 災害の種類を想定していなかった
地震だけを想定していたら、豪雨や停電、寒さには対応できません。特に水害では「準備したグッズが濡れて使えない」ことも…。
3. 使い方が複雑だった
多機能ラジオや浄水器など、使い方を知らないと宝の持ち腐れ。説明書を読む余裕なんて、災害時にはありません。
4. 過剰な準備
たくさん用意しても、持ち出せなければ意味がありません。特に缶詰や水を大量に詰め込んだ結果、避難が遅れたという声も。
5. 家族のニーズに合っていなかった
小さなお子さんがいる家庭、高齢者がいる家庭、ペットと暮らしている家庭…。一人ひとり、必要な備えは違うのです。
実際に「使えなかった」防災グッズたち
-
大型ランタン:避難時にはかさばるだけ。小型懐中電灯の方が重宝。
-
携帯トイレの大量ストック:必要最低限+ビニール袋で十分。保管スペースを圧迫。
-
アルミシート:風で飛びやすく保温性もイマイチ。着込む方が効果的。
-
高価な浄水ボトル:出番がなかった。ペットボトル水が配られた。
-
非常食の種類が多すぎた:味に慣れていないと手が伸びない。食べ慣れたレトルトや缶詰が安心。
-
多機能ツール:結局使わず、シンプルな道具の方が扱いやすい。
-
ガスコンロの予備タンク:避難所では使用不可。ガスの保存期限にも注意。
-
折りたたみ防災ヘルメット:意外とかさばる。厚手の帽子やタオルで代用した家庭も。
-
大量の乾電池:モバイルバッテリーの方が活躍。乾電池は使われないまま。
-
フルセットの救急箱:実際には絆創膏と簡易消毒液があれば十分だったという声多数。
命を守る備えに必要なのは、“量”ではなく“質”
災害はいつ、どこで、誰に起こるかわかりません。だからこそ、「とりあえず揃えた」ではなく、“自分と家族に本当に必要なもの”を厳選しておくことが、命を守るカギになります。
家族構成、健康状態、住んでいる地域…。あなたの状況に合った備えが、きっとあります。
「使わなかった」経験から学び、今度こそ、後悔のない備えを。
コメント