防災用モバイルバッテリーおすすめ6選|買ってはいけない型も解説

「防災にモバイルバッテリーが要るのは分かっている。でも種類が多すぎて、どれを買えばいいのか分からない」。この記事は、そんな方のための1本です。

結論から言います。防災用は「10,000mAhクラスを1台、いつも充電してある状態」が正解です。大容量を探し回る必要はありません。そして1種類だけ、買ってはいけない型があります。「61,800mAh」のような巨大な数字を掲げた格安のソーラー一体型です。理由は本文で計算つきで説明します。

私は防災士として、これまで停電・断水への備えを100本以上の記事と動画にしてきました。この記事では、容量の読み方(スマホ何回分か)→選び方3つ→避けるべき型→おすすめ6台→お金をかけない運用術、の順でお伝えします。読み終わったら、今夜やることが1つだけ残る構成です。

先に結論|この記事の要点3つ

  1. 10,000mAh(スマホ約2回分)を1台、常に充電50%以上で置いておく。これが防災の合格ラインです
  2. 家族がいる家・在宅避難を考える家は、家置き用に20,000mAhクラスをもう1台
  3. 「6万mAh」級の格安ソーラー一体型は買わない。その容量は物理的に入りません

まず容量の読み方|スマホ1回分は「実質4,000〜5,000mAh」

モバイルバッテリーの「10,000mAh」という数字は、そのままスマホに入るわけではありません。電圧の変換で失われる分があり、実際に使えるのは表記のおおむね6〜7割が目安です。

最近のスマホの電池はおおむね3,000〜5,000mAhです。つまり「10,000mAh」のモバイルバッテリーで充電できるのは、スマホ約2回分。この換算だけ覚えれば、商品選びで迷わなくなります。

表記容量スマホ充電の目安重さの目安向いている使い方
5,000mAh約1回約100g通勤かばんに常駐
10,000mAh約2回約200g防災の基本。持ち出し袋に
20,000mAh約4回約320g家置き。家族2人×停電2日
25,000mAh約5回約600g在宅避難の本気枠

停電への備えとして考えるなら、計算はこうです。スマホは節電すれば1人1日1回の充電でしのげます。大きな停電でも多くの地域は3日以内に復旧へ向かうので(ライフライン復旧までの過ごし方に詳しく書きました)、1人なら10,000mAh、2人家族なら10,000mAh+20,000mAhで3日分が組めます。

選び方は3つだけ

① 容量スペックより「充電してあるか」

いちばん大事なことを先に言います。災害の日に役立つのは、大容量のバッテリーではなく、充電してあるバッテリーです。20,000mAhでも残量10%なら、5,000mAhの満充電に負けます。

だから買う時点で勝負の半分は終わっていて、残り半分は運用です。やり方は後半の「運用術」で説明しますが、ルールは1つだけ。残量が50%を切ったら、その日のうちに充電する。これで「いざという時に空だった」がなくなります。

② 持ち出すなら10,000mAh・200g前後

防災リュックは、水や食料を入れると簡単に10kgを超えます(防災リュックの記事で「背負って走れるか」を基準にした理由です)。だから持ち出し用のバッテリーは重さが性能です。10,000mAhクラスは約200gで、スマホ2回分。持ち出し袋にはこのサイズを入れ、20,000mAh以上は家置きにする。この住み分けが現実的です。

③ ケーブル内蔵と「PSEマーク」

災害時の失敗でいちばん多いのが「本体はあるのにケーブルがない」です。避難先で他人に借りるのも気を使います。ケーブル内蔵型なら、この失敗そのものが起きません。

もう1つはPSEマーク。モバイルバッテリーは法律(電気用品安全法)で検査が義務付けられていて、合格品には菱形のPSE表示があります。表示のない製品は流通してはいけない物なので、見つけたら選択肢から外してください。

買ってはいけない型|「61,800mAh」級の格安ソーラー一体型

Amazonで「ソーラー モバイルバッテリー」と検索すると、「61,800mAh」「63,200mAh」といった巨大な数字の商品が数千円で並びます。ソーラーで充電できて手回しも付いて大容量。防災用に完璧に見えます。これが、この記事で唯一「買わないでください」と言う型です。

理由は計算で分かります。信頼できるメーカーの25,000mAhは、本体だけで約600gあります。電池は容量に比例して重くなるので、もし本当に60,000mAh入っていたら、本体は1.4kg前後になるはずです。ところがこの手の商品は500g台。つまり、表記の容量は物理的に入っていません。

ソーラー部分にも期待できません。発電量はパネルの面積で決まるため、手のひらサイズのパネルでは、一日中ベランダに置いてもスマホ1回分に届かないのが実情です。

怖いのは、損した金額ではありません。「スマホ12回分ある」と信じて停電の計画を立て、実際は2回分しかなかった時、困るのは災害の当日です。見分け方は3つ。①30,000mAh超なのに数千円 ②メーカー名が読めない・調べても出てこない ③ソーラーと手回しと大容量を全部載せしている。1つでも当てはまったら避けてください。

太陽光で本気で備えたい方は、ソーラーパネルが別体のポータブル電源が正解です。太陽光発電セットのレビュー記事で実機を比較しています。

防災士が選んだ6台|比較表

ここからは具体的な製品です。選定基準は「メーカーが実在し、仕様が信頼できて、防災の役割がはっきりしている」こと。全部で6台ですが、全部買う必要はありません。まず1位を1台です。

順位製品容量重さ役割
1位Anker Zolo(ケーブル内蔵)10,000mAh212gまずこの1台
2位Anker Power Bank 1000010,000mAh200gケーブルを選びたい人
3位エレコム EC-C39BK20,000mAh320g家置き・家族用
4位Anker Power Bank 2500025,000mAh595g在宅避難の本気枠
5位オーム電機 乾電池式乾電池4本約180g最後の保険
6位Anker Nano5,000mAh102g通勤かばん常駐

1位:Anker Zolo Power Bank(10,000mAh・30W・ケーブル内蔵)

迷ったらこれです。スマホ約2回分の容量、212gの軽さ、そしてUSB-Cケーブルが本体に内蔵。「ケーブルがない」という災害時最大の失敗が構造的に起きません。30Wの急速充電に対応しているので、停電の合間の通電でスマホと本体を素早く充電し直せるのも防災向きです。世界的なバッテリーメーカーAnker製で、価格は3,000円前後。この内容でこの価格は、正直ずるいと思います。

📌 こんな人に:初めて防災用バッテリーを買う方。持ち出し袋に1台入れたい方。家族それぞれに1台ずつ持たせる場合もこれが基準です。

2位:Anker Power Bank(10,000mAh・22.5W)

1位とほぼ同じ性能で、ケーブルが内蔵されていない代わりに200gと少し軽い定番機です。手持ちのケーブルを使いたい方、接続先が混在している家はこちらが柔軟です。ケーブルは必ず本体と同じポーチに入れてください。別々に置いた瞬間、1位に負けます。

📌 こんな人に:すでに使い慣れたケーブルがある方。1位が品切れの時の同格の代役としても。

3位:エレコム EC-C39BK(20,000mAh)

家置き用の容量番長です。スマホ約4回分で、2人家族の停電2〜3日をこれ1台でカバーできます。国内メーカーのエレコム製で3,000円前後という価格は、20,000mAhクラスでは頭ひとつ抜けています。注意点は出力が15Wと控えめなこと。充電がゆっくりなので、急速充電が欲しい方は4位を検討してください。寝室やリビングの決まった場所に「置きっぱなし」にする使い方に向いています。

📌 こんな人に:家族の在宅避難用に容量を足したい方。予算を抑えて合計容量を稼ぎたい方。

4位:Anker Power Bank(25,000mAh・巻取り式ケーブル)

在宅避難の本気枠です。スマホ約5回分に加えて出力が大きく、タブレットやノートPCも充電できます。巻取り式のUSB-Cケーブル内蔵で、ケーブル問題もありません。595gと重いので持ち出しには向きませんが、電気容量は3.7V換算で約92Whなので、飛行機の客室持ち込み(100Wh以下)も問題ない計算です。1万円台前半と値は張りますが、「停電中も仕事の連絡が止められない」方には投資に見合います。

📌 こんな人に:リモートワークの方。タブレットで子どもをあやす場面が想定できる家庭。

5位:オーム電機 乾電池式モバイルバッテリー

約1,000円の「最後の保険」です。単3乾電池4本でスマホを充電します。先に正直に言うと、乾電池4本でスマホを満充電にはできません。増えるのは2〜3割、安否連絡と情報収集のための緊急のひと押しです。それでもこれを勧めるのは、乾電池が「充電しなくていい備蓄」だからです。リチウム電池は放っておくと減りますが、乾電池は10年保存品なら置いておくだけ。しかも懐中電灯やラジオと電池を共用できます。充電式の保険として1つ、防災リュックへ。

📌 こんな人に:充電の管理に自信がない方。乾電池を多めに備蓄している家(電池の使い回しが効きます)。

6位:Anker Nano Power Bank(5,000mAh・USB-C直結)

102gの最小クラスです。スマホのUSB-C端子に直接挿すのでケーブル自体が不要。災害は在宅中に起きるとは限りません。通勤中・外出先で被災した時、役立つのは家の20,000mAhではなく、かばんに入っている5,000mAhです。ふだん使い兼防災として、通勤かばんに入れっぱなしにする1台です。

📌 こんな人に:外出が多い方。「家の備えはあるが持ち歩きがない」ことに気づいた方。

お金をかけずに効く運用術5つ

冒頭で「勝負の半分は運用」と書きました。ここは全部無料です。

  • 50%ルール:残量が半分を切ったら、その日のうちに充電。「使ったら戻す」だけの一番簡単な備蓄管理です
  • 毎月1日は充電の日:使わなくても自然に減ります。ついたちに挿す、と決めてしまう。防災の日(9月1日)が毎月来ると思ってください
  • 車内に置かない:夏の車内は高温になり、リチウム電池の劣化と事故の原因になります。車の備えは別の物で(車中泊避難の記事参照)
  • 膨らんだら寿命:本体がふくらむ・異常に熱いは交換のサインです。もったいないと思わず買い替えてください。目安は充電300〜500回です
  • 停電したらスマホ側を節電:低電力モード+画面を暗く+使わない時は機内モード。バッテリーを増やすのと同じ効果が無料で手に入ります。詳しくは停電対策まとめ

ポータブル電源とどっちを先に買う?

モバイルバッテリーが先です。数千円で「スマホの3日分」という防災の土台ができます。ポータブル電源は数万〜十数万円で、扇風機・冷蔵庫・電気毛布といった「家電を動かす」段階の装備です。順番として、まずこの記事の1位で土台を作り、次の段階はポータブル電源おすすめ10選で検討してください。

よくある質問

Q. 結局、何台必要ですか?
A. 目安は「1人1台の10,000mAh+家に20,000mAh1台」です。ただし0台と1台の差が一番大きいので、まず1台からで大丈夫です。

Q. 防災リュックに入れっぱなしでいいですか?
A. 入れっぱなしで構いませんが、リチウム電池は使わなくても少しずつ減ります。毎月1日の充電だけセットにしてください。

Q. 何年使えますか?
A. 充電300〜500回が寿命の目安です。毎月1回の防災運用なら年数より、本体の膨らみや異常な熱で判断してください。

Q. 手回し充電器はどうですか?
A. おすすめしません。スマホ1回分を手回しでまかなうには、何時間も回し続ける計算になります。同じ「電源がなくても増やせる」枠なら、5位の乾電池式が現実的です。

Q. 飛行機に持ち込めますか?
A. この記事の6台はすべて客室持ち込みできる容量です(預け入れは不可)。100Wh以下(約27,000mAh以下)が持ち込みの目安です。

まとめ|今夜やることは1つ

防災用モバイルバッテリーの正解は、大容量ではなく「10,000mAhクラスが、いつも充電してある状態」です。持ち出しは200g前後、家置きは20,000mAh、巨大な数字の格安ソーラー一体型だけは避ける。これだけ守れば失敗しません。

今夜やることは1つです。家にあるモバイルバッテリーを、今、充電器に挿してください。残量が50%を切っていたら、今日がその「充電の日」です。1台もなければ、1位のAnker Zoloから始めてください。スマホ2回分の安心が、3,000円で手に入ります。

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