「いつもの薬が切れたら、どうしよう…」
高血圧・糖尿病・喘息・心臓病・花粉症——慢性疾患は国民の3割以上が抱えています。災害時に「薬を切らす」ことは、想像以上に危険な事態なんです。
2024年1月の能登半島地震では、お薬不足で持病が悪化し、災害関連死につながった事例が複数報告されました。「薬さえあれば助かったかもしれない」——そんな悲しい現実が、能登でも起きていました。
この記事では、防災士・安心こちゃんが「お薬手帳の使い方」「持病別の災害対策」「医療相談窓口」「処方薬の備蓄」「救急医療の対応」「子ども・妊婦・高齢者への配慮」まで、医療と薬の備えを徹底解説します。健康があってこそ、命が守れます🌸
災害時のメンタルヘルス完全ガイドでは「心の医療」をお伝えしましたが、今日は「身体の医療と薬」がテーマです。実は災害関連死の大きな原因の一つが「持病の悪化」。命に直結するので、しっかり読んでくださいね。
なぜ災害時の医療・薬の確保が命に関わるのか
「災害=ケガ」というイメージが強いですが、実は災害関連死の多くは「持病の悪化」が原因。怪我で亡くなる方より、薬が切れて持病が悪化して亡くなる方の方が多いのが現実なんです。
災害関連死における医療不足の実態
能登地震では300人以上の災害関連死
能登地震では、地震直接の死者数を「災害関連死」が大きく上回る事態に。原因の多くは持病悪化・避難疲れ・医療不足。能登半島地震から学ぶ7つの教訓でも詳しく解説しています。
1日でも薬が切れると命に関わる病気
糖尿病・心臓病・てんかん・甲状腺疾患・抗がん剤治療中の方など、薬を1日切らすだけで命に関わる病気が多数あります。「どうにかなる」は通用しません。
医療機関も被災する
災害時はかかりつけ医院も被災することが多く、いつものように薬を貰えません。能登地震では多くの医院が休診になり、患者は途方に暮れました。
避難生活で持病が悪化
避難所での寒さ・ストレス・栄養偏り・運動不足が、普段は安定していた持病を一気に悪化させます。避難所での生活サバイバル術完全ガイドでも触れていますが、慢性疾患のある方は特に注意が必要。
今は健康でも、家族(高齢の親・小さな子ども)に持病がある方は多いはず。家族の医療備えは、家族みんなの責任です。離れて暮らす親の防災でも触れていますが、特に高齢の親の医療情報を把握できていない方は、今日から動き始めましょう🌸
能登地震で起きた医療・薬不足の現実
能登半島地震で起きた医療現場の混乱は、私たちに多くの教訓を残しました。これは決して他人事ではありません。
能登地震で報告された医療・薬関連の課題
- 多くの医院・調剤薬局が被災で休業
- 大規模病院も電気・水道停止で機能低下
- 処方箋がないと薬がもらえず、慢性疾患患者が困窮
- 透析患者が透析難民に・・・遠隔地まで搬送
- 糖尿病患者がインスリン切れで重症化
- 心臓病患者が薬切れで心不全悪化
- 避難所の寒さで肺炎・インフルエンザが流行
- 口腔ケア不足で誤嚥性肺炎が高齢者に多発
- お薬手帳を持参していない患者が多数(処方履歴不明)
- 救急車を呼んでも到着まで数時間かかるケース
ある糖尿病の高齢男性は、避難所でインスリンが切れて意識を失いかけました。家族が必死に医療チームを探し、隣県の病院から取り寄せたインスリンでギリギリ命を取り留めました。「もし1日遅れていたら…」と家族は涙ながらに語っていました。普段から最低2週間分の備蓄があれば、こんな思いをせずに済んだのです。
災害医療の優先順位(トリアージ)
災害時、医療リソースは限られています。「トリアージ」という優先順位付けが行われ、以下の順で治療を受けます。
| カテゴリ | 状態 | 優先度 |
|---|---|---|
| 🔴 赤(緊急) | 生命に直結する重症 | 最優先で治療 |
| 🟡 黄(準緊急) | 放置で重症化する可能性 | 2番手で治療 |
| 🟢 緑(軽症) | 歩ける・自分で対処可能 | 後回し(数時間〜) |
| ⚫️ 黒(重篤) | 救命困難 | 看取り対応 |
この現実を知っておくと、「軽症なら自分で対処する備え」の重要性が分かります。
お薬手帳の重要性と賢い使い方
災害医療において「最強の武器」と言われるのが、お薬手帳です。これがあれば、初めての医師でもあなたの体を理解し、適切な薬を処方してくれます。
お薬手帳でわかる10の重要情報
- 処方されている薬の名前・量・回数
- 服用期間と継続中の治療
- 過去の処方履歴
- アレルギー情報
- 副作用歴
- 持病・既往症
- 身長・体重・血液型
- 緊急連絡先・かかりつけ医
- ジェネリック薬への切替可否
- 飲み合わせの注意点
お薬手帳の3つの形態
📔 紙のお薬手帳(基本)
調剤薬局で無料で発行。処方箋を出すたびにシールを貼ってもらう。災害時は紙の方が確実(電池不要・水濡れ対策で防水袋に)。
📱 電子版お薬手帳アプリ
「EPARKおくすり手帳」「日本調剤お薬手帳プラス」「マイナポータル」など。スマホで管理できて持ち運びが便利。家族分も一括管理可能。
📷 スマホ撮影バックアップ
紙のお薬手帳全ページをスマホで撮影して保存。クラウドにもアップロード。これだけでも災害時に大活躍。今すぐできる最強の備え!
お薬手帳の準備チェックリスト
今日からできるお薬手帳の備え
- 家族全員分のお薬手帳を作る(子ども・高齢の親の分も)
- 最新の処方履歴を保つ(薬局でシール貼ってもらう)
- スマホで全ページ撮影してクラウド保存
- 防水袋に入れて防災リュックに常備
- 家族と保管場所を共有(緊急時すぐ取り出せる)
- 離れて暮らす家族とも情報共有
- 3ヶ月に1回、内容更新
- マイナポータルにマイナ保険証で連携(電子版バックアップ)
能登地震でも、お薬手帳を持参して避難した方はすぐに代替薬を処方してもらえたそうです。逆に持参していない方は、医師が手探りで対応するしかなく、適切な薬が出るまで時間がかかった例も。お薬手帳は最強の防災装備と覚えてください🌸
持病別 災害時に困ること
持病によって、災害時に直面する問題は大きく異なります。あなたやご家族の持病に合わせた備えを意識しましょう。
🍱 インスリン・経口薬の確保が命綱
糖尿病、特にインスリン依存型(1型・2型でインスリン使用中)の方は、1日薬が切れても重症化します。低血糖・高血糖いずれも危険。
備えるべきこと:
- インスリン・経口薬を最低2週間分備蓄
- 血糖測定器・センサー・針も多めに
- 低血糖時用のブドウ糖・砂糖を必携
- 避難所では「糖尿病食」配給を申告
- 運動・水分補給を意識的に
- ストレスで血糖値が乱れることを認識
🫀 急な血圧上昇は脳卒中リスク
高血圧は日本人の4人に1人が罹患する超・国民的な病気。災害時のストレス・睡眠不足で血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。
備えるべきこと:
- 降圧薬を最低2週間分備蓄
- 家庭血圧計を持参(腕巻き式)
- 塩分高めの避難食(おにぎり・カップ麺)に注意
- 毎日血圧測定して記録
- 強い頭痛・しびれ・呂律困難があれば即救急
- 水分・カリウム(野菜・果物)を意識
💔 心筋梗塞・狭心症・不整脈
心臓病の方は、過度なストレス・寒冷・運動制限が引き金になります。能登地震でも、心臓病の悪化で関連死した方が複数。
備えるべきこと:
- 狭心症発作時のニトロを必携
- 普段の薬を最低2週間分備蓄
- 胸の痛み・息切れがあれば即救急
- 寒さ対策を最優先(冬の防災ガイド参照)
- ペースメーカー使用者は医療機関に連絡
- 過度な運動は避ける
🫁 ホコリ・寒さ・感染症の三重苦
避難所のホコリ・カビ・寒さは喘息の大敵。発作で死亡する事故も能登地震で発生しました。
備えるべきこと:
- 吸入薬(発作止め・予防)を必携
- マスク・メガネで粉塵対策
- ピークフローメーター持参(発作予兆検知)
- 寒い場所・煙のある場所を避ける
- 避難所の「アレルギー対応エリア」を活用
- 発作時は躊躇せず救急車を
🩺 がん治療・てんかん・甲状腺疾患・透析・難病など
抗がん剤治療中の方・てんかん・透析・難病など、専門治療が必要な疾患は災害時の影響が深刻です。
備えるべきこと:
- 主治医・専門病院の連絡先を多重保管
- 治療スケジュールのコピー
- 透析患者は「透析施設リスト」を持参
- 難病・障害者手帳のコピー
- 必要な専門薬を最大限備蓄
- 家族・支援者に病状を共有
災害時にすぐ使える医療相談窓口
災害時、医療機関に行けない・行きにくい時の相談窓口を知っておきましょう。命を守る連絡先です。
📞 緊急医療相談先(全国共通)
緊急時(意識喪失・激しい胸痛・出血など)。災害時は到着遅延あり。
急病だが救急車を呼ぶか迷う時。看護師・医師が24時間相談に応じる。
休日・夜間の子どもの急病相談。年齢別の対応アドバイスがもらえる。
誤飲・誤食・薬物過剰摂取など中毒の相談。24時間対応。
心の不調・自殺念慮など。24時間無料。メンタルヘルスガイド参照。
地域別の医療情報の探し方
都道府県の救急医療情報サイト
各都道府県は「救急医療情報システム」を運営。当日診療している病院・診療科を検索可能。スマホでブックマーク推奨。
日本医師会「災害医療情報」
大規模災害時、JMAT(日本医師会災害医療チーム)が現地に派遣されます。被災地域の医療情報をリアルタイム発信。
避難所の救護所・巡回診療
避難所には救護所・巡回医療チームが設置されることが多いです。受付に「医療相談したい」と申告するだけで対応してもらえます。
処方薬の備蓄と保管ルール
処方薬の備蓄は「最低2週間、できれば1ヶ月分」が目安。ただし保管にも注意が必要です。
備蓄量の目安
| 薬の種類 | 最低備蓄量 | 理想備蓄量 |
|---|---|---|
| 命に関わる薬(インスリン・降圧薬等) | 2週間分 | 1ヶ月分 |
| 慢性疾患薬(普段服用) | 1週間分 | 2週間分 |
| 頓服薬(発作時のみ) | 5回分 | 10回分 |
| 常備薬(風邪薬・痛み止め) | 1週間分 | 2週間分 |
処方薬の備蓄方法
主治医・薬剤師に相談:「災害備蓄として多めに処方してほしい」と相談。多くの場合、対応してもらえます。
診療間隔を活用:次の診察までの分+α(1〜2週間分)を多めに保管する習慣を。
ローリングストック:備蓄薬は使用期限管理が重要。ローリングストックのやり方完全ガイドと同じ要領で、新→古→使用の流れを作る。
保管環境を整える:直射日光・高温多湿を避ける。冷蔵保管薬は別保管。
処方薬の保管ルール
正しい保管方法
- 直射日光を避ける
- 湿度の低い場所(寝室・引き出し内)
- 子どもの手の届かない場所
- 使用期限を月1回チェック
- 冷蔵保管薬(インスリン等)は冷蔵庫の決まった場所
- 防災リュックには1週間分を分けて入れる
- 家のあちこちに分散保管(火災・倒壊リスク回避)
NGな保管方法
- キッチン・お風呂など湿度の高い場所
- 車内(夏は高温・冬は凍結)
- 子どもが手にする可能性のある場所
- 使用期限切れの薬と混在
- 裸で放置(湿気・直射日光に晒す)
- 防災リュックに大量に入れる(分散すべき)
救急医療(怪我・急病)の対応
災害時は救急車がすぐ来ないのが現実。家族で応急処置ができるようにしておきましょう。
家庭の救急セット必須リスト
🚑 家族のための救急セット
家庭でできる応急処置5パターン
切り傷・擦り傷
①水道水で洗浄(水道がない場合はペットボトル水)、②清潔なガーゼで圧迫止血(5分以上強く圧迫)、③消毒+絆創膏。出血が止まらない・深い傷は救急へ。
やけど
①すぐ流水で15〜20分冷やす、②水ぶくれは破らない、③清潔なガーゼで保護。広範囲・水ぶくれ・顔のやけどは救急。
骨折・捻挫の疑い
①動かさない・固定する(三角巾・添え木で)、②冷却、③救急受診。骨が見える・大量出血は重症なので救急車。
誤飲・中毒
①口の中の異物を取る(無理に吐かせない)、②意識確認、③日本中毒情報センター(072-727-2499)に電話または救急。
避難所での医療を受ける方法
避難所には医療チームが派遣されるのが一般的。正しく利用すれば、医療を受けられます。
避難所の医療体制
救護所・救護室の設置
大型避難所には救護所が設置されます。看護師・保健師が常駐し、医師も巡回。気軽に相談できる窓口です。
巡回診療
DMAT(災害派遣医療チーム)・JMAT(日本医師会災害医療チーム)が避難所を巡回。スケジュールが避難所内に掲示されます。
処方箋発行・薬の手配 巡回医師は処方箋を発行できます。薬は災害用の備蓄薬から提供されたり、薬剤師が個別配送する場合も。 4 専門医療(透析・人工呼吸)
透析患者・在宅酸素・呼吸器使用者は、避難所では対応不可。隣接の病院に搬送されます。早めに申告を。
避難所で医療を受ける時の準備
避難所救護所の利用準備
- お薬手帳を必ず持参
- 健康保険証(コピーでもOK)
- マイナ保険証も有効
- 身分証明書
- 医療費は災害時無料化される場合あり(災害支援金ガイド参照)
- 症状・経過を簡潔にメモして渡す
- 家族の症状もまとめて相談
- 「優先順位」のトリアージを理解する
子ども・妊婦・高齢者の特別な配慮
家族構成によって、医療上の配慮はさらに細やかに。属性別の特別な備えを見ていきましょう。
👶 子どもの医療備え
子ども医療電話 #8000
子どもの急病で迷ったら、まず#8000。看護師・医師が年齢別の対応をアドバイスしてくれます。
🤰 妊婦の医療備え
母子手帳とバースプラン
母子手帳は妊婦の最重要書類。出産予定日・既往症・血液型・アレルギーすべて記載。
陣痛・出血時の対応
災害時の陣痛・出血はすぐ救急車。妊娠後期は受診先病院の連絡先を必携。
葉酸・鉄剤・つわり止めの確保
妊娠中の薬は赤ちゃんにも影響。処方薬を多めに備蓄。市販薬は必ず医師確認。
👵 高齢者の医療備え
避難所では「要配慮者」申告
避難所で「要配慮者」と申告すると、福祉避難所への移送・特別対応が受けられます。遠慮しないで。
口腔ケアで誤嚥性肺炎予防
避難所で起きやすい誤嚥性肺炎(口の中の細菌が肺に入って起きる)。歯ブラシ・口腔ケアシートを必携、毎日3回口の中をきれいに保つ。能登地震でも多発した死因です。
FAQ|よくある質問5問
まとめ|医療の備えは命に直結する防災
災害時の医療・薬の重要ポイント
- 災害関連死の大きな原因が「持病悪化」
- 能登地震ではお薬不足で命を落とした方が複数
- お薬手帳は最強の防災装備。スマホ撮影バックアップを今すぐ
- 持病別に対応:糖尿病・高血圧・心疾患・喘息など
- 緊急医療相談先:119・#7119・#8000・0120-279-338
- 処方薬は最低2週間、できれば1ヶ月分備蓄
- 家庭の救急セットで軽症は自己対応できるように
- 避難所の救護所・巡回診療を遠慮なく利用
- 子ども・妊婦・高齢者は属性別の配慮が必要
- 健康があってこそ命が守れる。医療備えは最重要防災
今日のテーマは「医療と薬」——もっとも命に直結する防災です。家具固定や食料備蓄も大事ですが、薬を切らした糖尿病患者が亡くなる現実を前にすると、医療の備えこそ最優先だと痛感します。
今すぐできることは、ただ一つ。お薬手帳をスマホで撮影してクラウドに保存すること。それだけで、あなたや家族の命を救う武器になります。
南海トラフ最前線の四国に住む私も、家族みんなのお薬手帳を電子化済み。今夜、あなたとあなたの家族の分も、一緒にやりませんか?🌸


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