帰省前にやる実家の防災チェック5つ|「片付けて」と言うと失敗します

実家の防災は、「片付けて」と言った瞬間に失敗します。

もうすぐお盆。久しぶりに実家へ帰る方も多いと思います。帰省は、離れて暮らす親の備えを確認できる、年に数回だけの機会です。ただ、やり方を間違えると、親子喧嘩になって終わります。

今日は、喧嘩にならない実家の防災チェックを5つ。あわせて、よくある失敗例もお伝えします。

大前提:チェックは初日にやらない

中身の前に、いちばん大事な話をします。

防災チェックは、着いた日にはやりません。

親にとって帰省は、うれしくて、少し疲れるものです。着いた日は本当にうれしそうに出迎えてくれます。でも2日目、3日目になると、生活のリズムが変わるからか、少しイライラしはじめる。帰る日には、ほっとした様子で、それでも「また来てね」と寂しそうに見送ってくれる。

来てよし、帰ってよし。それが帰省です。

だからチェックは2日目以降に、買い物や片付けの「ついで」にさりげなくやります。初日は顔を見せて、一緒にごはんを食べる。それだけでじゅうぶんです。

チェック1:水と食べ物の賞味期限

まず、台所と押し入れです。

親の家の非常食と水は、賞味期限が切れていることが多いです。買ったことに安心して、そのままになっているからです。

ここで言い方のコツがあります。

「これ、期限切れてるよ」と指摘しない。 「これ今日のお昼に食べちゃおう。帰りに新しいの買っておくね」と言う。

期限切れを責められると、親は「もう見せない」になります。一緒に食べて、一緒に買い足す。食べたら買い足すやり方はローリングストックといって、備蓄のいちばん楽な形です。そのまま親の習慣として残ります。

水の目安は1人1日3リットル、3日分。両親2人なら2リットルのペットボトル9本です。帰りの買い物で1ケース、一緒に買ってください。

チェック2:寝室と枕元

次は寝室です。

夜中に地震が来たとき、高齢の方がけがをするのは、寝室から玄関までの数メートルです。割れたガラスや落ちた物を、暗い中で裸足で踏んでしまう。

確認するのは3つだけです。

  • 倒れてくる位置に大きな家具がないか
  • 枕元に灯りがあるか
  • スリッパとメガネが手の届く場所にあるか

ここでも言い方です。「片付けて」は禁句です。こう言ってみてください。

「私が安心したいから、寝る部屋だけ見せて」

親のためではなく、自分のお願いにする。これだけで反応が変わります。

枕元の灯りは1,000円台のもので足ります。両手が空くヘッドライトがおすすめです。帰省の手土産に1つ持っていくのもいい方法です。選び方は防災ヘッドライトおすすめ10選にまとめました。

チェック3:冷房と、停電の暑さ対策

3つ目は、真夏ならではの話です。

高齢の方の熱中症は、半分近くが家の中で起きています。冷房を我慢していないか、まず室温を見てください。目安は28度です。

ここで、解決がむずかしい問題をひとつ。

お父さんは暑がりで、温度を低くしたい。お母さんは寒がりで、高くしたい。帰省のたびに、エアコンの温度で言い合いになる。こういうご家庭は、とても多いです。どちらが正しいかを、家族が決めるのは難しい。

それでも、1つだけ共有できることがあります。

「28度を超えたら、どちらが正しいかではなく、体が危ない」

この危険な線だけは、2人に覚えてもらってください。温度計がない家には、温度計を1つ手土産に。数百円で買えます。

もう1つ、停電の話です。真夏に停電すると、冷房が止まります。高齢の方には、これが命に関わります。電池で動く扇風機と、冷凍庫の保冷剤の場所を確認しておいてください。

余裕があれば、扇風機を一晩動かせるポータブル電源が心強い備えになります。容量の選び方はポータブル電源おすすめにまとめています。

チェック4:薬とお薬手帳

4つ目は薬です。

災害のとき、高齢の方がいちばん困るのは、実は食料より薬です。食料は3日あれば支援が届き始めます。でも「何の薬を、どれだけ飲んでいるか」は、本人が言えなければ誰にも分かりません。

こんなご相談があります。親が薬をうまく飲めていない。良かれと思って、お薬カレンダーを作って、飲み方を説明した。結果は、喧嘩だった。

うまくいくのは、聞き方を変えてからです。

「ちゃんと飲んで」ではなく、「どうしたら飲めそう?」と本人に聞く。

決めるのは本人。家族は、本人が決めたやり方を手伝うだけです。

帰省中にやることは2つだけ。薬とお薬手帳の置き場所を教えてもらうこと。そして、お薬手帳をスマホで撮らせてもらうこと。10秒で終わります。

避難のとき薬を持ち出せなくても、手帳の写真があれば、避難先の医師や薬局に正確に伝えられます。

チェック5:いちばん強い備えは、ご近所さん

最後の5つ目が、いちばんお伝えしたいことです。

遠くに住む親を守ってくれるのは、防災グッズではありません。ご近所さんです。

帰省のたびに、実家のご近所さんへ菓子折りを持ってあいさつに行く。そういう方がいます。

「遠くに住んでいるので、両親を気にかけてもらえたらうれしいです。何かあったら教えてください」と伝えて、連絡先を渡す。

親がケアマネジャーさんにお世話になっているなら、その方にも同じように。連絡を密にして、あいさつとお礼を欠かさない。

災害の最初の10分、親のそばにいるのは、遠くの家族ではなくご近所さんです。菓子折り1つで買える安心としては、安すぎるくらいです。

まとめ

  • 初日はやらない。2日目から「ついで」に
  • :期限切れは一緒に食べて入れ替え(水は2L×9本)
  • 寝室:枕元に灯り・スリッパ・メガネ
  • 暑さ:室温28度の線を共有+停電時の冷やし方
  • :お薬手帳をスマホで撮る(10秒)
  • :ご近所さんに菓子折り+「何かあったら教えてください」

最後にひとつだけ。

帰省の目的は、チェックを完璧にすることではありません。「また来てね」と言ってもらえる関係のまま、備えが1つ進めば、それでじゅうぶんです。

今日できること

帰省の手土産を買うとき、ご近所さんの分をひとつ足してください。

それだけで、実家の防災はひとつ前に進みます。

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