防災の水は何本必要?1人1日3リットル×3日分の数え方と、置き場所

防災の水は何本必要?|防災士・安心こちゃん

「水は備えたほうがいい」と言われても、何本買えばいいのかが分からない。ここでつまずいて、そのままになっている家庭は多いです。

数は、はっきり決まっています。

計算式は1つだけ

1人1日3リットル × 3日分

これが最低ラインです。2リットルのペットボトルに直すと、こうなります。

家族の人数3日分2Lボトル
1人9L5本
2人18L9本
3人27L14本
4人36L18本

3リットルの内訳は、飲み水が1.5リットル、調理に1.5リットルです。体を洗う水やトイレの水は、この3リットルには入っていません。

南海トラフ地震のような広域災害では、支援が届くまでに1週間かかると想定されています。余裕があるなら7日分。4人家族なら2リットル×42本です。かなりの量になります。

「置く場所がない」を解決する

42本を一か所に積むのは無理です。ここで多くの人があきらめます。

分けて置いてください。

  • 台所の床下収納
  • 押し入れの下段
  • 寝室のベッド下
  • 玄関の靴箱の上
  • 車のトランクに2本

分散には理由が2つあります。ひとつは、そもそも一か所に置ける家が少ないこと。もうひとつが大事で、家の一部が潰れても、別の場所の水は生き残るからです。台所に全部置いていて、その台所が使えなくなったら、備蓄はゼロと同じです。

車に2本置いておくと、渋滞で動けなくなったときにも役に立ちます。夏場は車内が高温になるので、3か月ごとに入れ替えてください。

買ったら終わり、にしない

保存水の賞味期限は5年や7年のものが多いですが、普通のミネラルウォーターでも構いません。

普通の水を使うなら、ローリングストックにします。多めに買って、古いものから普段使いして、減った分を買い足す。この形なら期限切れが起きません。「防災用」と別枠にすると、たいてい忘れます。

期限切れの水も、飲まないだけで捨てる必要はありません。トイレを流す水、手を洗う水として十分使えます。

水を「もらいに行けない」場合を考えておく

備蓄が尽きたあと、給水車まで水をもらいに行くことになります。

ここが盲点です。20リットルのポリタンクは満タンで20キロ。高齢の方や、小さいお子さんを連れた方には運べません。往復もできません。

対策は2つあります。

ひとつは容器を小分けにすること。10リットル×2個のほうが、20リットル1個より確実に多く運べます。

もうひとつが水を作れるようにしておくこと。携帯浄水器があれば、風呂の残り湯や雨水をろ過して飲めます。給水車に行けない日の保険になります。選び方は携帯浄水器おすすめ7選|断水時の命綱にまとめました。

飲む水のほかに、「洗う水」が要ります

1日3リットルは、飲むためと調理のための水です。トイレ・手洗い・食器洗いの水は、ここに入っていません。先に足りなくなるのは、こちらのほうです。

目安を並べる前に、1つだけ確認をお願いします。大きな地震のあとは、建物の排水管が壊れていることがあります。壊れたままトイレに水を流すと、汚水があふれたり、逆流したりする危険があるとメーカーが案内しています。集合住宅では階下への漏水にもつながります。バケツで流す前に、建物の排水管に被害がないかを、管理会社や自治体の案内で確認してください。分からないうちは携帯トイレを使ってください。

目安を並べます。

  • トイレをバケツで流す:1回およそ8〜10リットル(数回に一度は10〜12リットル)
  • 手洗い・歯みがき:コップ1杯でも足ります
  • 食器洗い:お皿はラップをかければ洗わずに済みます

家族4人が1日にトイレへ行く回数を考えると、生活用水は飲み水より桁がひとつ大きくなります。飲み水が1人1日3リットルなのに対して、生活用水は公的な目安で1人1日およそ10〜20リットルとされています。この量をペットボトルで揃えるのは現実的ではありません。生活用水は「買う」ではなく「溜める」で考えてください。

溜め場所は浴槽が確実

一般的な浴槽には、ふだん張る量でおよそ160〜200リットルの水があります。お風呂の水を翌朝まで抜かずに置いておけば、1日分の生活用水がまかなえます。毎日でなくて構いません。台風や大雨の予報が出た日。この日だけでも溜めておくご家庭が多いです。

小さいお子さんがいて、浴槽に水を張るのが心配なご家庭もあります。その場合は無理をしないでください。お金をかけずにできる方法もあります。浴室のドアを閉めて外側から施錠する、ドアの前にベビーゲートを置く。この2つで、お子さんが1人で浴室に入るのを防げます。それでも心配なときは、折りたためるウォータータンクや給水袋を1つ置いておけば、断水の知らせが出てから溜められますし、給水車まで受け取りに行くときにもそのまま使えます。容量ごとの選び方はウォータータンク・給水袋おすすめ7選にまとめました。

ペットボトルの「賞味期限」は、水が傷む日ではありません

先に結論を書きます。未開封のペットボトルに書かれた期限は、水が飲めなくなる日ではありません。

ペットボトルの容器は、時間をかけてごくわずかに水分を通します。長く置くと中身が少しずつ蒸発して減っていきます。表示された内容量を保証できる期間、それがあの日付です。中身が腐る日ではありません。

ですから、未開封のまま数か月過ぎていた1本を見つけても、慌てなくて大丈夫です。ただし、これは未開封で、きちんとした場所に置いていた場合の話です。におい移りは本当に起こります。ペットボトルはにおいを通すので、置き場所だけは選んでください。

  • 灯油や携行缶のそば
  • 洗剤・柔軟剤・防虫剤のストックの隣
  • 直射日光が当たる窓ぎわ

この3か所を避けておけば、におい移りはほぼ防げます。逆に、どこに置いていたか分からないものや、においが気になるものは、飲用にせず生活用水へ回すと迷いません。

断水したとき、家の中にまだ残っている水

備蓄が足りないときでも、家の中には水が残っています。順番があります。

1. 出るうちに溜める

大きな地震のあと、水はしばらく出続けることもあれば、すぐ止まることもあります。揺れが収まって身の安全を確かめたら、出ているうちに溜めてください。浴槽・鍋・やかん・空のペットボトルに水を入れます。溜めた水が濁っていたときは、飲用にせず生活用水へ回してください。ここで動けた分が、そのまま数日分の余裕になります。

2. 給湯器のタンク

エコキュートや電気温水器のような、お湯を溜めておくタイプの給湯器には、370リットルや460リットルのタンクがあります。ただし、その全部が取り出せるわけではありません。370リットルの機種で、実際に取り出せるのはおよそ250リットル前後と言われています。断水したときの残り湯量によっても変わります。

取り出し方には決まりがあります。蛇口やリモコンの操作では出ません。本体にある非常用の取水栓を使ってください。機種によっては、逃し弁を開ける操作も要ります。栓は最初から全開にせず、少しずつ汲んでください。出てくる水は熱いことがあるので、やけどに気をつけてください。断水が復旧したあとは、エア抜きなどの復帰作業が必要な機種もあります。くわしい手順は取扱説明書に載っています。

そして、メーカーは飲用できないと定めています。トイレや手洗いに使う水と考えてください。壁掛けの小さな瞬間式にはタンクがないので、この方法は使えません。

3. トイレのロータンク

便器の後ろのタンクにも数リットルの水があります。これも飲用ではありませんが、そのまま1回分の水洗に使えます。洗浄剤を入れている場合は、掃除用に使ってください。

1つ注意があります。空になったタンクに水を足すのは、作動不良の原因になるとメーカーが案内しています。特に手洗い付きのタンクは足さないでください。あとから水を流すときは、バケツから便器へ直接入れてください。

最後に、今日のうちにできることを1つ。ご自宅の給湯器が、お湯を溜めるタイプかどうかを見てきてください。屋外に大きな箱のようなタンクがあれば、そちらです。取扱説明書の「非常用取水」のページに付箋を貼っておけば、断水した日に探さずに済みます。

計算が面倒な方のために、人数を入れるだけで出せる備蓄量計算機を用意しています。水だけでなく、食事と簡易トイレの必要量も一度に分かります。

今日できること

家にある水を数えてください。それだけです。

2リットルのボトルが何本あるか。家族の人数×4.5本(3日分)に足りているか。足りなければ、次の買い物で足りない本数を買う。一度に揃えなくていいので、毎週2本ずつでも構いません。

水の備え全体(置く・運ぶ・きれいにする・流さない)は、断水と水の備えまとめに1本にしてあります。

この記事の数字の出どころ

本文で使っている数字は、次の公的な資料に基づいています。

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