水が引いた朝、揺れが収まった翌日。家に戻った人が最初にやりたくなるのは、泥をかき出して、壊れた物を外に運ぶことです。気持ちは分かります。ただ、その順番で始めると、あとで罹災証明書が出ない、処分費の減免が受けられない、乾く前に消毒して臭いとカビが残る、という損が重なります。
結論を先に言います。片付けは「撮る→届ける→戻る→出す→乾かす→消毒する」の順番です。最初の「撮る」を飛ばすと、そのあとの支援が受けられなくなることがあります。そして消毒は最後です。厚生労働省は「清掃と乾燥が最も重要」と見出しで言い切っています。
私は防災士として、内閣府・環境省・厚生労働省・消防庁の資料と、被災地支援団体の手引き、自治体の公式ページを2026年9月22日に読み、書いてある手順と数字だけをこの記事にまとめました。読み終わる頃には、被災した日から1か月の動き方が1本の線でつながり、今日やっておくことが1つ決まります。
- 先に結論|片付けの順番は6つ
- ①撮る|必要だと思う枚数の3倍、片付ける前に
- ②届ける|罹災証明書の申請と、保険会社への連絡は先にしていい
- ③戻る|窓を開けて30分、電気とガスは手順どおり
- ④出す|災害ごみは分けて、仮置場の案内を待つ
- ⑤乾かす|消毒より先に、泥を出して洗って風を通す
- ⑥消毒する|薬の種類と濃度は、この表だけ覚える
- 体を守る|装備・休憩・傷の手当て
- 一人でやらない|「家の片付け」は災害ボランティアセンターに頼める
- 再スタートのお金|罹災証明書の区分で、使える制度が決まる
- 心の反応|眠れない、涙が出るのは、正常な反応です
- 今日できること|家の写真を撮って、保険証券と一緒にクラウドへ
- まとめ|撮る、届ける、乾かす
先に結論|片付けの順番は6つ
全体を先に表で示します。上から順にやります。飛ばしてよい段階はありません。
| 順番 | やること | なぜこの順番か | 目安の時期 |
|---|---|---|---|
| ①撮る | 片付ける前に家の外と中を写真に撮る | 調査の前に片付けると罹災証明書が出ない場合がある(明石市) | 家に戻った直後 |
| ②届ける | 市町村に罹災証明書を申請し、保険会社に連絡する | 申請期限が3か月の市がある。保険の請求権は3年で消える | 1週間以内 |
| ③戻る | 換気30分、電気とガスは手順どおりに復帰 | 再通電の火災と、カビ・ガス漏れを避ける | 作業を始める前 |
| ④出す | 災害ごみを分けて、仮置場の案内を待つ | 市が仮置場を開いてから。畳は発熱して火事になる | 数日〜数週間 |
| ⑤乾かす | 泥を出し、水で洗い、風を通して乾かす | 消毒だけでは効かない。床下は最低1か月 | 1か月以上 |
| ⑥消毒する | 乾いた後に、薄めた消毒薬で拭く | 汚れが残ったままだと消毒薬が働かない | 乾いた後 |

この順番は、被災地支援団体39団体(2025年3月現在)が作った手引き「水害にあったときに」の目次と同じです。手引きは「片付ける前に記録を残す」から始まり、「さらに乾燥させる」で片付けの章が終わります。国の資料も同じ順番です。以下、1段階ずつ理由を付けて説明します。
①撮る|必要だと思う枚数の3倍、片付ける前に

家に戻ったら、何かを動かす前にスマホで撮ります。理由は3つあります。
1つめ。片付けてしまうと、罹災証明書が出ないことがあります。兵庫県明石市の公式ページには「調査の前に片付けや修理、汚れの除去等を行ってしまうと被害の確認ができず、証明書を交付できない場合があります」と書かれています。罹災証明書は市町村の職員が家を見て被害の程度を判定する書類です。見る物が無くなれば、判定できません。
2つめ。写真があれば、現地調査を待たずに証明書が出る道があります。内閣府の手引きにある「自己判定方式」で、被害が10%未満の「準半壊に至らない(一部損壊)」に本人が合意する場合、本人が撮った写真だけで判定します。明石市の説明では、現地調査なら2〜3週間、写真判定なら1週間程度です。千葉県香取市では交付件数の約9割をこの方式で処理した実績があります。必要な写真は「建物の全景(周囲4面、4枚以上)」「表札」「被害箇所」です。
3つめ。家を先に解体してしまった場合、公費で払い戻しを受けるには「全壊・半壊の被害が確認できる解体前の写真」が要ります(環境省の公費解体・撤去マニュアル)。写真が無ければ、自分で払った解体費は戻りません。
撮り方は、政府広報オンラインと支援団体の手引きに具体的に書いてあります。まとめると次の6点です。
- 家の外を4方向から撮る。浸水した場合は、水が来た高さが分かるように撮る
- 高さを示すときは、人が横に立つか、指を指すか、巻き尺を当てる
- 被災した部屋ごとに全景を1枚、そのあと被害箇所の「寄り」を撮る
- キッチン・洗面台などの住宅設備、家電、車、物置も撮る
- 枚数は「必要だと思う枚数の3倍」。動画も有効
- 水害の跡は乾くと分からなくなる。だから、その日のうちに撮る
なお、罹災証明書の申請書類に写真は必須ではありません(支援団体の手引きに明記)。必須ではないのに撮る理由は、調査の日まで被害を「残しておく」ことができないからです。写真は、片付けと証明の両方を成り立たせる唯一の方法です。
②届ける|罹災証明書の申請と、保険会社への連絡は先にしていい
写真を撮ったら、片付けを始める前に2か所へ連絡します。市町村の窓口と、保険会社です。どちらも電話1本か窓口1回で済み、片付けの手を長く止めません。
罹災証明書は、市町村に申請します。災害対策基本法第90条の2で、市町村長は申請があれば「遅滞なく」調査して交付しなければならないと決まっています。申請期限は全国一律ではありません。明石市は原則3か月、横浜市は原則6か月です。自分の市町村のページで「罹災証明」と検索すると期限が出ます。時間がたつほど被害と災害の因果関係が確認しにくくなるので、早いほど有利です。
被害の区分は6つです。この区分が、あとで受けられる支援の入口になります。
| 区分 | 損壊部分の床面積の割合 | 住家全体の損害割合 |
|---|---|---|
| 全壊 | 70%以上 | 50%以上 |
| 大規模半壊 | 50%以上70%未満 | 40%以上50%未満 |
| 中規模半壊 | 30%以上50%未満 | 30%以上40%未満 |
| 半壊 | 20%以上30%未満 | 20%以上30%未満 |
| 準半壊 | 10%以上20%未満 | 10%以上20%未満 |
| 準半壊に至らない(一部損壊) | 10%未満 | 10%未満 |
保険会社には、被害にあったことを伝えます。火災保険の水災、地震保険のどちらも、請求する権利は「行使できる時から3年」で時効になります(保険法第95条)。3年は長く見えますが、片付けと手続きに追われて忘れる期間としては短いです。証券が流されて保険会社が分からない場合は、日本損害保険協会の「自然災害等損保契約照会センター」(0120-501331・平日9:15〜17:00)で契約を照会できます。災害救助法が適用された地域が対象で、回答まで約2週間です。共済は日本共済協会(0570-023140)です。
保険の調査は保険会社が独自の基準で行い、罹災証明書は基本的に不要です(明石市の案内)。地震保険の「全損・大半損・小半損・一部損」は、罹災証明書の「全壊・半壊」とは別の制度で、基準も別です。同じ言葉に見えますが一致しません。片付けの前に保険会社へ連絡し、写真を残したうえで、調査の要否と時期の指示をもらってください。
③戻る|窓を開けて30分、電気とガスは手順どおり
数日ぶりに家へ入る前に、ドアと窓を開けて30分以上換気します。日本環境感染学会のガイダンスにある手順で、理由は屋内にカビが発生している可能性があるからです。清掃が終わるまで、子どもとペットは室内に入れません。
電気は、いきなり入れません。消防庁は水害後の再通電で電気機器や配線から火災が起きるおそれを注意喚起しています。政府広報オンラインの手順はこうです。ブレーカーが全て「切」になっているか確認し、アンペアブレーカー、漏電遮断器、安全ブレーカーの順に入れます。安全ブレーカーを入れて漏電遮断器がまた切れるなら漏電のおそれがあるので、切ったまま、触りません。支援団体の手引きは、ブレーカーが落ちていたら電力会社に相談するよう書いています。外見に傷が無くても、壁の中の配線が傷んで時間がたってから火が出ることがあるため、煙や焦げた臭いに気づいたらすぐブレーカーを落として消防に連絡します。
ガスは、臭いが無いことを確かめてから、マイコンメーターの復帰ボタンで戻します。臭いがあれば窓を開け、換気扇も火も使いません。プロパンのボンベが元の位置から動いていたら、復帰の前にガス会社の点検を受けます。復帰しない時もガス会社に連絡します。
停電が続く中で作業するなら、明かりは両手が空く物にします。片付けは両手を使う作業で、片手がふさがると転ぶからです。選び方は防災ヘッドライトの記事に書いています。
④出す|災害ごみは分けて、仮置場の案内を待つ
濡れた家具や家電は、家の外に運びます。ただし、道路に積むのは市の案内が出てからです。環境省の資料では、災害ごみをいったん集める「仮置場」は災害が起きたら市が開設情報を知らせる仕組みで、開設できない場合もあると書かれています。案内の前に道路へ出すと、収集の仕組みに乗らず、通行の妨げになります。
出すときの分け方は、市の指示が最優先です。指示が分からないうちは、支援団体の手引きの7種類で分けて置いておきます。木製家具、一般家電、リサイクル対象家電(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)、スチール類、土砂や泥、畳、その他です。濡れた畳は他の物と必ず分けます。時間がたつと発熱し、火災の原因になるからです。環境省の手引きも、仮置場で畳は2m以上積み上げないよう定めています。
被災していない古いテレビや事業所のごみを混ぜる「便乗ごみ」は、環境省が仮置場に持ち込ませないよう指示しています。生活ごみも仮置場には出しません。通常の収集に出します。
罹災証明書があると、災害ごみの処分手数料が免除される市があります。神奈川県相模原市は罹災証明書か罹災届出証明書を持って清掃工場と事前協議をしてから持ち込む手順、平塚市は被災日から90日以内に減免申請をして、決定通知が出てから搬入する手順です。市ごとに順番と期限が違うので、持ち込む前に自分の市のページで「り災ごみ」と検索してください。
捨てるか迷った物は、捨てません。手引きの言葉は「迷ったらとっておく」です。片付けの日は判断力が落ちています。1週間後に捨てても遅くありません。
⑤乾かす|消毒より先に、泥を出して洗って風を通す

ここが、順番を間違える人がいちばん多い段階です。消毒薬をまく前に、泥を出し、水で洗い、乾かします。理由は、汚れが残ったままだと消毒薬が効かないからです。日本環境感染学会のガイダンスには「消毒は、必ず泥や汚れを取り除いた後で使用します。清掃が不十分だと、効果を発揮できません」とあります。厚生労働省のリーフレットの見出しは「感染症予防のためには清掃と乾燥が最も重要です」です。
泥の除去は水洗いがいちばん効きます。ホースで流すだけで十分です。高圧洗浄機は家財を傷めることがあるので、勧められていません。断水中なら、できるだけ泥を取り除いて乾かし、水が戻ってから流します。水で流すと、その後のカビの発生も抑えられます。
乾かすのに使う道具は、風です。風の通り道を作るだけでも効果があり、扇風機やサーキュレーターで風を送るとさらに乾きます。停電が続く地域では、扇風機を回す電源が問題です。容量の考え方はポータブル電源の記事にまとめています。
床下は、最低でも1か月かけて乾かします。手引きには、床板をはがし、機械で風を送りながら最低1か月乾燥させると書かれています。ここを知らないと「2週間たっても臭いが消えない」と焦る元です。1か月は普通です。手引きの冒頭にも「家屋を十分に乾かすには1か月以上かかります。それまでは仮住まいや2階での生活になるかもしれません」とあります。床下にもぐる作業は、有毒ガスや飛び出た釘の危険があるため、建築士や水害対応ができる支援団体に頼んでください。
消石灰は使いません。厚生労働省は、消石灰がアルカリ性で肌や目に触れると炎症を起こし、目に入ると失明のおそれがあると明記しています。支援団体の手引きも「おすすめしません」です。土壌への消毒も、学会のガイダンスでは基本的に不要とされています。
⑥消毒する|薬の種類と濃度は、この表だけ覚える
乾いたら消毒します。厚生労働省と日本環境感染学会が示す薬と濃度は同じです。家庭用の塩素系漂白剤で足ります。
| 消毒薬 | 食器・流し台・浴槽 | 家具・床 | 作り方の例 |
|---|---|---|---|
| 次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤) | 0.02%に薄める | 0.1%に薄める | 0.02%=ペットボトルのキャップ1杯(5mL)を水1Lに / 0.1%=キャップ2杯(10mL)を水500mLに |
| 消毒用アルコール | 原液(70%以上) | 原液(70%以上) | 薄めない |
| 10%塩化ベンザルコニウム(逆性石けん) | 0.1%に薄める | 0.1%に薄める | キャップ1杯(5mL)を水500mLに |
| 熱湯 | 80℃に10分 | — | 食器向け。洗ってから漬ける |

使い方の決まりは4つです。布に含ませて拭くか、薬液に漬ける。噴霧はしない(吸い込むため)。使う時に薄める(作り置きは効かない)。漂白剤は開封後数か月以内の物を使う(時間で濃度が落ちる)。食器は、洗剤と水で洗ってから薬液に5分漬け、水で流して乾かします。
洗えない布製品は、消毒ではなく撤去です。カーペットや布のソファは学会のガイダンスで撤去とされています。衣類は80℃の熱水に10分以上漬けてから洗濯します。浄化槽には消毒薬を流しません。バクテリアが死ぬからです。井戸水は水質検査で安全を確認してから使います。
体を守る|装備・休憩・傷の手当て
作業の装備は、厚生労働省の指示どおり「厚手のゴム手袋・底の厚い長靴・長袖・マスク・ゴーグル」です。理由は2つで、釘や木材での傷と、土ほこりを吸い込むことを防ぐためです。土ほこりは目に入ると結膜炎、口から入るとのどや肺の炎症を起こします。釘の踏み抜きを防ぐ中敷きはホームセンターで買えます。
休憩は、夏なら10〜15分に1回、冬でも30分に1回です(支援団体の手引き)。片付けの日は気持ちが先に立ち、体の限界に気づきません。時間で区切ります。作業後は手指を消毒し、うがいをします。
土で汚れた傷は、放置しません。傷口から破傷風に感染するおそれがあるためで、厚生労働省は医療機関で手当てを受けるよう案内しています。破傷風は近年30歳以上の成人を中心に発生し、かかった場合に亡くなる割合が非常に高い病気です。学会のガイダンスは、破傷風ワクチンの接種歴が10年以内に無い場合は医療機関に相談するよう書いています。
地震で家が壊れた場合は、粉じんに注意します。壁材や乾いた土砂の細かい粒を長く吸い込むと「じん肺」になる可能性がある、というのが厚生労働省の案内です。壊す物や片付ける物は先に水で濡らし、室内では換気し、使い捨ての防じんマスクを着けます。作業後にせき・たん・息切れが続くなら医師か保健師に相談します。
水に浸かった食品と、停電で温度が保てなかった要冷蔵・冷凍の食品は捨てます。自家栽培の野菜の生食も避けます。
一人でやらない|「家の片付け」は災害ボランティアセンターに頼める
大きな災害では、市区町村の社会福祉協議会に災害ボランティアセンターが設けられます。内閣府の資料には、センターが「家の片付け、避難所でのお手伝いなど、被災地の暮らしのニーズを収集」し、必要な人数を調整し、道具を貸し出すと書かれています。政府広報オンラインの案内も同じです。家の片付けや修復作業の手助けが必要な時は、センターを通じて派遣を依頼する。
頼むことは、甘えではありません。床下の作業のように、専門の知識が無いと危険な工程があります。費用の扱いは地域の社会福祉協議会に確認してください。全国のセンターの開設状況は、全国社会福祉協議会の「被災地支援・災害ボランティア情報」で分かります。被災した自治体や社協へ電話で問い合わせるのは控えるよう内閣府が求めているので、まずウェブで確認します。
頼む側の心得も手引きにあります。ボランティアが来る前に、残したい物と迷う物を分けるか印を付けておく。作業中に迷ったら「迷っている」と伝える。大人数が来ると慌てるので、自分のペースで作業を頼む。この3つで、あとで「捨てられた」と悔やむことが減ります。
再スタートのお金|罹災証明書の区分で、使える制度が決まる
水害と地震では、被害の形が違います。総務省消防庁の資料で比べると、令和6年能登半島地震(令和6年11月21日現在)は全壊6,436棟が突出しています。令和元年東日本台風(消防庁 第65報・令和2年2月12日現在)は全壊3,280棟に対して、半壊29,638棟、一部破損35,067棟、床上浸水7,837棟です。水害は「全壊ではないが住めない、住みづらい家」が圧倒的に多い災害です。だから、半壊や中規模半壊の人向けの制度を知っているかどうかで差が出ます。
主な制度を、罹災証明書の区分と一緒に並べます。金額はすべて内閣府「被災者支援に関する各種制度の概要」(令和8年6月1日現在)の記載です。
| 制度 | 対象 | 額 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 被災者生活再建支援金(基礎) | 全壊・解体・長期避難 / 大規模半壊 | 100万円 / 50万円 | 市町村 |
| 同(加算) | 上記+中規模半壊。建設・購入 / 補修 / 賃借 | 全壊等・大規模半壊は200万 / 100万 / 50万円。中規模半壊は100万 / 50万 / 25万円 | 市町村 |
| 住宅の応急修理 | 大規模半壊・中規模半壊・半壊 / 準半壊 | 75万7千円以内 / 36万7千円以内(令和8年4月) | 市町村。業者に委託する形で、現金は出ない |
| 緊急の修理(ブルーシート等) | 準半壊以上(相当)。災害発生日から10日以内 | 5万6,400円以内(令和8年4月) | 市町村 |
| 災害援護資金(貸付) | 所得制限あり。額は被害の形で変わる | 150万〜350万円。350万円は住居の全壊か全体の滅失・流失の場合 | 市町村 |
| 公費解体 | 全壊。半壊は「特定非常災害」に指定された場合 | 解体・撤去費を公費で | 市町村(受付は発災後1か月以内に立ち上がるのが一般的) |
| 賃貸型応急住宅(みなし仮設) | 災害救助法が適用された時 | 民間賃貸を借り上げ | 都道府県・市町村があっせん |
補足を3つ。支援金は1人世帯だと各欄の4分の3になります。応急修理は「資力のない方」が対象で、大規模半壊では資力を問いません。公費解体の受付は発災から1か月以内に立ち上がり、工事開始は2か月以内が一般的で、受付は1年程度続くことがあります(環境省マニュアル)。急いで自費で壊す必要はありません。
罹災証明書は、この表以外にも入口になります。地方税の減免・徴収猶予、公共料金や保育料の軽減、電気・ガス・電話料金の軽減、NHK受信料の免除(半壊・半焼・床上浸水以上)、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資です。制度の全体像と申請の順番は災害支援金・助成金の記事に、被災直後からの時間の流れは巨大地震から生活が戻るまでの記事にまとめています。
2023年からは「災害ケースマネジメント」という取り組みが内閣府の手引きで広がっています。被災者一人ひとりの状況を個別の相談で把握し、専門家と連携して継続的に支援する仕組みです。制度が多すぎて分からない時は、市町村や社会福祉協議会の相談窓口で「自分の場合はどれが使えるか」を聞いていい、ということです。
最後に、修理の勧誘には注意します。政府広報オンラインは、災害後は家の修理を口実にした消費者トラブルが多くなる傾向があると案内しています。不審な勧誘は消費者ホットライン(局番なしの188)へ。支援団体の手引きの言葉を借りると、「多くの支援制度は、あとからでも申し込めます」。焦った日に契約しないことが、いちばんの防御です。
心の反応|眠れない、涙が出るのは、正常な反応です
片付けの時期に、眠れない、不安が続く、急に涙が出る。内閣府の「被災者のこころのケア 都道府県対応ガイドライン」は、こうした反応の多くを「異常な状況に対する正常な反応」と説明し、多くは時間とともに自然に回復すると書いています。自分が壊れたのではありません。状況が異常なのです。
同じガイドラインは、症状が1か月以上続く場合や、災害後3か月ごろから孤独感が強まる時期があることも書いています。長引くなら、相談先は専門家です。都道府県・指定都市の精神保健福祉センターで、こころの健康相談を受け付けています。電話は「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556です。通話料はかかり、対応する曜日と時間は都道府県ごとに違います。
今日できること|家の写真を撮って、保険証券と一緒にクラウドへ
被災してから撮る写真は「被災後」の写真です。「被災前」の写真があると、被害の大きさを説明しやすくなります。今日やるのは次の2つで、合わせて10分です。
1つめ。家の外を4方向から、家の中を部屋ごとに1枚ずつ撮ります。家具や家電が写るように。撮ったらクラウドに上げます。スマホが水に浸かっても残るからです。
2つめ。火災保険と地震保険の証券を撮って、同じ場所に入れます。保険会社名と証券番号が分かれば、証券が流されても連絡できます。写真が無くても照会センターで探せますが、回答まで約2週間です。写真があれば、その日に電話できます。
まとめ|撮る、届ける、乾かす
被災した家の片付けは、撮る→届ける→戻る→出す→乾かす→消毒する、の順番です。写真を先に撮るのは、片付けると罹災証明書が出ないことがあり、解体前の写真が無いと公費解体の払い戻しも受けられないからです。罹災証明書の申請期限は3か月の市もあります。保険の請求権の時効は3年です。災害ごみは市の案内を待って分けて出し、濡れた畳は必ず離します。消毒は最後で、その前に泥を出し、水で洗い、床下は最低1か月かけて乾かします。消石灰は使いません。傷は放置せず、休憩は時間で区切り、床下は専門家か支援団体に頼みます。
眠れないのは正常な反応で、多くの支援制度はあとからでも申し込めます。急ぐのは写真だけです。
次の行動は1つ。今日、家の外を4方向から撮ってクラウドに上げてください。3分で終わります。片付けの先にある衛生の話は災害時のごみ処理・衛生管理の記事へどうぞ。
この記事の出典
- 内閣府『被災者支援に関する各種制度の概要』(令和8年6月1日現在)/ 内閣府(防災担当)『災害に係る住家被害認定業務 実施体制の手引き』(令和7年5月)/ 内閣府『被災者のこころのケア 都道府県対応ガイドライン』(平成24年3月)/ 内閣府「災害ボランティアセンター(社会福祉協議会等)について」「災害ケースマネジメント」
- 災害対策基本法 第90条の2 / 保険法 第95条(e-Gov法令検索)
- 政府広報オンライン「住まいが被害を受けたとき 最初にすること」(2025年9月8日)
- 環境省『公費解体・撤去マニュアル(第7版)』/ 環境省『災害時の一般廃棄物処理に関する初動対応の手引き』(令和3年3月改訂)/ 環境省近畿地方環境事務所「災害ごみの扱い方について」
- 厚生労働省「被災した家屋での感染症対策」(浸水した家屋の感染症対策・清掃と乾燥が最も重要です・清掃作業時に注意してください)/ 厚生労働省「被災地での健康を守るために」/ 厚生労働省「破傷風」「まもろうよ こころ 電話相談窓口」
- 日本環境感染学会『一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法(暫定版ガイダンス)』(平成28年9月)
- 消防庁予防課「通電火災にご注意ください」(令和2年9月3日)/ 総務省消防庁『令和6年版 消防白書』特集1 / 消防庁「令和元年台風第19号及び前線による大雨による被害及び消防機関等の対応状況(第65報)」(令和2年2月12日)
- 日本損害保険協会「自然災害等損保契約照会制度」/ 財務省「地震保険制度の概要」
- 震災がつなぐ全国ネットワーク『水害にあったときに 浸水被害からの生活再建の手引き』(WEB公開版 2025年7月)
- 明石市「罹災証明書」(2026年5月1日更新)/ 横浜市「罹災証明書」/ 相模原市「り災ごみの出し方」/ 平塚市「り災ごみの減免制度」(2026年6月25日更新)
※制度の金額・期限・手順は、法令や自治体の要綱の改正で変わります。この記事は2026年9月22日時点の公式資料をもとに書いています。申請の前に、お住まいの市町村の最新のページか窓口で確認してください。


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