重ねるハザードマップを開いてみたら、地図が色だらけで、どこを見ればいいのか分からないまま閉じた。スマホの小さな画面だと、なおさらです。
結論を先に言います。住所を入れたら、見るのは3つだけです。家の場所の色、その色が表す水の深さ、近くの避難場所がその災害に対応しているか。深さは0.5m・3m・5mの3本の線で読めます。家の1階の床、2階の床、2階が沈む高さです。
私は防災士として、国土交通省と国土地理院が運営するハザードマップポータルサイトの操作マニュアルとよくある質問、国の「水害ハザードマップ作成の手引き」(令和8年5月)、国土地理院の避難場所データの説明を2026年9月24日に読み、書いてあることだけでまとめました。読み終わる頃には、自宅の地図を開いて「うちは何色で、どこへ逃げるか」を家族に1文で言えるようになります。
先に結論|見るのは「色」「深さ」「避難場所の対応」の3つ
手順は3つです。上から順に1回ずつやれば、地図に何十種類の情報があっても迷いにくくなります。
| 手順 | やること | 見るところ | 分かること |
|---|---|---|---|
| ①住所を入れる | ポータルサイトのトップで住所か現在地から探し、災害を1つ選ぶ | 地図の中心の十字線が家に合っているか | 家のまわりの地図 |
| ②色を読む | 家の場所の色を、凡例(色と深さの表)と見比べる | 画面の凡例 | 想定される最大の浸水の深さ。土砂災害の区域に入っているか |
| ③避難場所の対応を見る | 「指定緊急避難場所」のマークを出す | 選んでいる災害に対応したマーク | その災害のとき、どこへ行くか |

洪水、土砂災害、高潮、津波は、1つずつ切り替えて同じ3つを見ます。全部を一度に重ねないのには理由があります。重ねた情報は、あとから選んだものが上に乗るので、下の情報が隠れて見えにくくなります(操作マニュアル3.5)。
重ねるハザードマップとは|国と都道府県の地図を1枚に重ねたもの
重ねるハザードマップは、国土交通省と国土地理院が運営する「ハザードマップポータルサイト」の中の地図です。サイトの説明では「洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを地図や写真に自由に重ねて表示します」。全国どこでも同じ見た目で見られるのが強みです。
載っている情報は、国や都道府県などがそれぞれ作ったものを集めたものです。2026年9月24日に「各種データの出典と掲載数」のページで確かめた掲載数は、次のとおりでした。洪水(想定最大規模)は、国が管理する洪水予報河川・水位周知河川の448河川、都道府県が管理する同じ種類の1,718河川、それ以外の8,860河川。津波は40都道府県。高潮は18都道府県(26沿岸)。内水は65市町村です。内水とは、大雨で下水や水路から水があふれる浸水のことです。
注意が1つあります。重ねるハザードマップは、市町村が水防法に基づいて作る水害ハザードマップそのものではありません。サイトのよくある質問(全般Q3)に、そう明記されています。避難の計画を最後に確かめるのは、市町村の地図です。その入口が、あとで説明する「わがまちハザードマップ」です。
手順1|住所を入れて、十字線を自分の家に合わせる
ハザードマップポータルサイトのトップに「住所から探す」と「現在地から探す」があります。住所を入れて検索すると、その場所の地図に移り、想定される災害のリスクが地図の上に出ます。同時に、その場所のリスクと避難のポイントが文字の窓でも表示されます(操作マニュアル3.1.1・3.2)。
文字の窓は、危険の程度で背景の色が変わります。白、黄色、橙色、桃色、赤色の順に高い危険です。ただし、窓に出るのは「選択した地点とその周辺で最も危険な災害リスク情報」です。洪水と高潮が両方かかる場所では、浸水が深くなるほうだけが文字で出ます。窓を読んだあとも、災害を1つずつ切り替えて確かめてください。
住所の検索には誤差があります。マニュアルの言葉では、表示されるのは住所の「代表点」です。よくある質問(Q26)は、検索した地点そのものの情報が出ない場合があると書き、周りの複数の地点も見るよう勧めています。十字線が家から外れていたら、地図を指で動かして自分の家に合わせます。背景の地図は航空写真に切り替えられるので(操作マニュアル2章)、屋根の形で家を探すと早いです。
災害ごとの地図は、トップの「災害の種類から選ぶ」から開きます。ボタンは「洪水・内水」「土砂災害」「高潮」「津波」の4つです。
実家や学校など、何か所も見るときは、手順を短くする道具があります。当サイトのハザードマップかんたん検索に郵便番号か住所を入れると、洪水・土砂災害・津波・高潮の重ねるハザードマップを、それぞれその場所で開けます。近くの指定緊急避難場所の地図と、市区町村の公式マップの一覧も、同じ画面からです。入力した住所は当サイトに送らず、保存もしません。
手順2|色を読む|0.5m・3m・5mが家の目安

洪水・内水・高潮・津波の浸水の深さは、同じ6段階の色で塗られています。国の「水害ハザードマップ作成の手引き」(令和8年5月)が、20m・10m・5m・3m・0.5mを境にした6段階を、4つの災害で共通にすると決めているためです。住民だけでなく旅行者や通勤・通学の人も、どこにいても同じ色で読めるように、という理由が書かれています。
境目の数字には意味があります。手引きの言葉では、0.5mは「1階床高に相当」、3mは「2階床下に相当」、5mは「一般的な家屋の2階が水没する」深さです。10mと20mは、それより深い浸水を表すための線です。
| 色 | 深さ | 家の目安(手引きの記載から) |
|---|---|---|
| うすい黄 | 0.5m未満 | 1階の床の高さまで |
| うすいオレンジ | 0.5〜3m | 1階の床より上。2階の床の高さまで |
| うすいピンク | 3〜5m | 2階の床より上。5mで2階が水没する |
| ピンク | 5〜10m | 2階建ての家が水没する深さより深い |
| 赤紫 | 10〜20m | さらに深い |
| 紫 | 20m以上 | さらに深い |

3mの根拠も手引きにあります。1階の床の高さは建築基準法で0.45m以上。1階の天井の高さは9割以上が2.3m以上。天井裏は低くても0.24m。足すと2.99mなので、2階の床はおよそ3mです。深さは、その場所の地面からの深さです(よくある質問Q10)。
いちばん浅いうすい黄にも、気をつける深さが入っています。手引きによると、車は浸水が30cm以上で走りにくくなり、50cm以上で浮いたり、パワーウィンドウの車では中に閉じ込められたりします。0.5mは大人の膝くらいで、流れがゆるやかでも大人が歩くのは難しくなる深さです。車で水に囲まれたときの動き方は大雨で車が水に浸かったらの記事にまとめています。
凡例(色と深さの表)は、「洪水」「高潮」「津波」を選ぶと出ます。パソコンでは画面の右下です(操作マニュアル3.6.2)。見当たらないときは「凡例」のボタンで出します(同2章)。津波は、浅いところをさらに細かく分けた8段階です(サイトの凡例の説明)。市町村の紙の地図は、手引きが似た配色や斜線の模様を認めているので、色が少し違うことがあります。その場合は、地図に付いている凡例で読みます。
色は「想定最大規模」の雨で計算した深さです。洪水を選ぶと最初に出るのがこの地図で(操作マニュアル3.4.1)、1年にその規模を超える雨が降る確率がおおむね1000分の1の雨を想定しています(よくある質問Q6)。近くに川が何本もある場所では、いちばん深くなる川の深さが表示されます(同Q12)。
色の形がちがう区域|家が倒れる区域と、土砂の黄・赤
浸水の深さとは別に、見落としやすい区域が2つあります。
1つめは「家屋倒壊等氾濫想定区域」です。種類は2つあります。堤防が切れたときの激しい流れで木造の家が倒れるおそれのある区域(氾濫流)と、川岸が削られて家が崩れるおそれのある区域(河岸侵食)です。手引きの表3-6は、どちらも「早期の立退き避難が必要」としています。重ねるハザードマップでは、洪水浸水想定区域と同じ仲間として載っています。
2つめは土砂災害です。色は黄と赤の2つです。黄は土砂災害警戒区域、赤は土砂災害特別警戒区域で、どちらも都道府県知事が指定します。赤は、土砂災害が起きたときに「生命または身体に著しい危害が生じるおそれ」がある区域です(よくある質問Q15)。
この2つと浸水の深さがそろうと、「家に残るか、外へ出るか」を決められます。内閣府の「避難行動判定フロー」は、家の場所に色があれば原則は家の外へ避難としたうえで、浸水については次の3つがそろえば家にとどまる「屋内安全確保」もできる、としています。
- 家屋倒壊等氾濫想定区域の外にいる
- 浸水する深さよりも高いところにいる
- 水が引くまで我慢できる水・食料などの備えが十分にある
3つめの「水が引くまで」は、洪水の地図に入っている「浸水継続時間」で見当をつけます(操作マニュアル3.1.4)。家にとどまると決めたときの過ごし方は水害で孤立したらの記事に書いています。
この3つの条件は、浸水の話です。土砂災害の黄・赤に家が入っているときは、フローの原則どおり家の外へ避難します。津波も別で、手引きは「直ちに浸水しない高台等への立退き避難が必要」と書いています。
手順3|避難場所は「その災害に対応しているか」で選ぶ
最後は避難先です。ここで大事なのは、指定緊急避難場所が災害の種類ごとに決められていることです。災害対策基本法第49条の4は、市町村長が「洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに」指定緊急避難場所を指定すると定めています。種類は、洪水、崖崩れ・土石流及び地滑り、高潮、地震、津波、大規模な火事、内水氾濫、火山現象の8つです(国土地理院)。
国土地理院の案内は「災害発生時は、その災害に対応している指定緊急避難場所へ避難してください」です。地震のときに逃げる広い公園が、ほかの災害の避難場所とは限りません。たとえば広島市の平和記念公園は、地震と大規模な火事の指定緊急避難場所ですが、津波には指定されていません(国土地理院の指定緊急避難場所データ、2026年9月24日取得。くわしくは広島で地震にあったらの記事)。
重ねるハザードマップでは、この区別が画面でできます。「指定緊急避難場所」のボタンを押すと、いま表示している災害に対応した避難場所が出ます(操作マニュアル8章)。災害の地図を1つも出していないと、このボタンは使えません。地図を縮小しすぎているとマークが出ないので、家のまわりまで拡大してから押します。
大雨の日に備えるなら、洪水の地図で出たマークと、土砂災害の地図で出たマークを見比べます。両方に出てくる場所なら、どちらの心配があっても同じ場所へ向かえるからです。気をつけたいのは、浸水が想定される区域の中にある避難場所です。「○階以上が使用可能」のような条件が付いていることがあり、地図の説明欄は、条件を市町村に確かめるよう案内しています。
2026年7月13日から、重ねるハザードマップで「指定避難所」も見られるようになりました(サイトのお知らせ)。名前は似ていますが、役目が違います。指定緊急避難場所は命を守るために緊急に逃げる場所、指定避難所は災害の危険がなくなるまで一時的に過ごす施設です。国土地理院は「災害発生時には、指定避難所ではなく、指定緊急避難場所へ避難してください」と書いています。
避難先は、指定緊急避難場所だけではありません。内閣府のフローは、安全な場所に住む親戚や知人の家、ホテルも避難先に挙げ、「安全な場所にいる人は、避難場所に行く必要はありません」と書いています。
家の外へ出ると決めたご家庭は、持って出る袋を1つ、玄関の近くに置く場所まで決めておきます。夜の雨でも、探し物をせずに出られるからです。背負ったまま歩ける袋の選び方は防災リュック本体おすすめ15選で比べています。
色が付いていない=安全、ではない理由
家の場所に色が無いと、ほっとします。ただ、公式の説明は「安全」とは言っていません。理由は3つあります。
1つめ。データがまだ無いだけのことがあります。よくある質問(Q23)は、色が出ない場所を「被害の危険性が想定されている場所ではない、もしくは現時点で災害リスクに関するデータが未整備の場所」と説明しています。内水の地図が載っているのは65市町村です。
2つめ。計算に入っていない水があります。洪水の地図の説明には、支川の氾濫、計算の前提より多い雨、高潮や内水による氾濫などを「考慮していません」とあり、区域の外でも浸水が起きることがあると書かれています。手引きが示す説明文の例も「色がついていない場所は、計算上では浸水しない場所です」という言い方です。
3つめ。土砂災害警戒区域が指定されるのは、人家がある場所か、将来建つ見込みがある場所です。よくある質問(Q16)は、人家のない山あいの道路などでは、表示が無くても沢沿いや崖の近くで土石流やがけ崩れが起きるおそれがあると書いています。極端な大雨では、表示の範囲を超えて起きることもあります。
色が無くても、まわりより低い土地や崖のそばに住んでいるなら、市町村の避難情報を見て動きます。これは内閣府のフローにある一文です。
地震の危険は、重ねるハザードマップで分かる?
揺れの強さ(震度)の予測は、重ねるハザードマップには載っていません。2026年9月24日に地図の情報の一覧を確かめました。地震に関係して見られるのは、主に次の5つです。
- 津波の浸水の深さ
- 液状化(都道府県の液状化危険度分布図と、地形から見た液状化の発生傾向図)
- 大規模盛土造成地
- 活断層図
- 地震に対応した指定緊急避難場所
揺れの予測は、都道府県の地震被害想定の資料で確かめます。重ねるハザードマップの「都道府県液状化危険度分布図」も、その被害想定の結果から液状化の図を載せたものです。
重ねるハザードマップと、わがまちハザードマップの違い
同じポータルサイトに、入口が2つあります。役目が違うので、両方使います。
| 重ねるハザードマップ | わがまちハザードマップ | |
|---|---|---|
| 中身 | 国や都道府県などの災害リスクの情報を、1枚の地図に集めたもの | 市町村が法令に基づいて作り、公開しているハザードマップへのリンク集 |
| 強み | 全国同じ色で見られる。拡大できる。災害を切り替えて比べられる | 市町村の最新で詳しい地図にたどり着ける |
| 気をつけること | 最新でない場合がある(Q14)。背景の地図にも誤差がある(Q24) | スマホのSafariで開けないことがある(わがまちQ3) |
| 使う順番 | 先に。全体をつかむ | 後に。最後に確かめる |
重ねるハザードマップの「リスク検索」で地点を押すと、出てくる窓の下に「○○市のハザードマップを見る」があります。そこから、その市町村のわがまちハザードマップへ移れます(操作マニュアル4章)。
iPhoneで見る方は1点だけ気をつけてください。よくある質問によると、トップのわがまちハザードマップで都道府県・市区町村・地図の種類を選んで進んでも、スマホのSafariではハザードマップの画面に移らない事象が確認されています。Edge・Chrome・Firefoxでは、この事象は確認されていません。移らないときは、別のブラウザで開き直します。
今日できること|自宅と、学校か職場の2か所を、洪水と土砂で1回ずつ
今日やるのは1つです。自宅と、子どもの学校か自分の職場の2か所を、洪水と土砂災害で1回ずつ見ます。見るのは、色・深さ・避難場所の対応の3つです。海の近くなら、津波と高潮も足します。
2か所にするのは、大雨の日に家族がいつも家にいるとは限らないからです。洪水と土砂災害から始めるのは、どちらも大雨で起きる災害で、海から離れた家にも関係するからです。
見終わったら、画面を残します。重ねるハザードマップの「その他」のメニューには、画面をPNG・JPEG・PDFで保存する機能と、印刷の機能があります(操作マニュアル7.5・7.6)。スマホならスクリーンショットでも十分です。家族のグループに送っておけば、雨の夜に開き直さなくて済みます。
最後に、家族に1文で伝えます。たとえば「うちは洪水でうすいオレンジ、0.5〜3m。1階は浸かるかもしれない。行き先は洪水に対応した○○小学校」。
まとめ|色、深さ、対応の3つ
重ねるハザードマップは、国と都道府県などの災害リスクを1枚に重ねた地図です。住所を入れたら、見るのは3つ。家の場所の色、その色が表す深さ、避難場所がその災害に対応しているか。深さの目安は、0.5mが1階の床、3mが2階の床、5mで2階が水没です。色が無くても安全とは限らず、最後は市町村の地図(わがまちハザードマップ)で確かめます。
次の行動は1つ。今日、自宅と学校か職場の2か所を、洪水と土砂災害で見て、画面を家族に送ってください。
この記事の出典
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」トップページ/よくある質問/「ハザードマップポータルサイト」の新機能の紹介/各種データの出典と掲載数/浸水深の凡例の違いについて(いずれも2026年9月24日確認)
- 国土地理院『重ねるハザードマップ 操作マニュアル』(令和7年3月)
- 国土交通省水管理・国土保全局『水害ハザードマップ作成の手引き』(令和8年5月)3.4.1、表3-6ほか
- 災害対策基本法 第49条の4(e-Gov法令検索)
- 国土地理院「指定緊急避難場所・指定避難所データ」「免責事項・ご利用上の注意」/指定緊急避難場所データ(2026年9月24日取得)
- 内閣府「避難行動判定フロー」
※サイトの画面、ボタンの名前、データの掲載数は更新で変わります。この記事は2026年9月24日時点の公式資料をもとに書いています。避難先を決めるときは、お住まいの市町村の最新のハザードマップも確かめてください。


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