防災リュックを最小にする|減らして残す12品と家に置いていい物

防災リュックを最小にする|玄関で小さなリュックを背負う防災士・安心こちゃんの水彩イラスト

「防災リュックを作ったけれど、重すぎて背負えない」「入れる物を増やすほど、何が入っているか分からなくなった」。この記事は、リュックを一度作った人が、次にぶつかる悩みのための1本です。

結論を先に言います。持ち出し袋に入れるのは「避難の最初の一晩」をしのぐ物だけ。12品で足ります。残りは家の備蓄と車に分ける。この「2階建て」にすると、リュックは半分の重さになり、中身も言えるようになります。

私は防災士として、これまで100本以上の記事と動画で備えの順番をお伝えしてきました。この記事では、残す12品を表にして、外していい物には「どこへ移すか」を1つずつ付けています。読み終わったら、今夜リュックから3つ出せる状態になります。

先に結論|残す12品と、外して家に置く物

残す12品(持ち出し袋) 家の備蓄に移す物
1. 水 500ml×2本 2Lのペットボトル(家に1週間分)
2. 携帯トイレ 5回分 凝固剤と袋の大袋(家に人数×7日分)
3. ヘッドライトと予備電池 ランタン・大きな懐中電灯
4. モバイルバッテリー(10,000mAh)とケーブル 大容量バッテリー・ポータブル電源
5. 現金(小銭多め)と身分証のコピー 通帳・印鑑(貴重品は金庫か持ち歩き)
6. 常備薬と、お薬手帳の写真(スマホ) 大きな救急セット
7. 軍手(手袋) 工具・ロープ・バール
8. アルミの寝袋(静音タイプ) 毛布・本格的な寝袋
9. レインポンチョ 着替えの複数セット(袋には下着1組だけ)
10. 衛生セット(マスク・ウェットティッシュ・歯ブラシ) トイレットペーパー・タオル類
11. 食べ慣れた食べ物 1日分(ようかん・ゼリー飲料など) 3日〜1週間分の食料・カセットコンロ
12. ホイッスルと、家族の連絡先メモ ラジオ(家と車に乾電池式を1台ずつ)

右の列は「要らない物」ではありません。「背負って逃げる袋には入れず、家で使う物」です。ここを分けるだけで、リュックの重さは目に見えて変わります。

なぜ減らすのか|重いリュックは3回失敗する

重さの目安は、広島県の減災ポータルが「男性は15kg、女性は10kg」と示しています。ただし、これは上限です。実際に階段を下りて、暗い道を歩いて、子どもの手を引いて避難する場面を考えると、目標はその半分、女性なら5kg前後に置くのが現実的です。

重いリュックは、3回失敗します。1回目は玄関で。持ち上げた瞬間に「置いていこう」となり、袋ごと家に残ります。2回目は道中で。走れず、転びやすく、両手がふさがります。3回目は避難所で。中身が多すぎて、必要な物がすぐ出せません。

内閣府の「災害の備えチェックリスト」も、非常用持ち出し品と、家に置く備蓄品を最初から分けて書いています。持ち出し袋に1週間分を詰める発想が、そもそも間違いです。1週間分は家に置く。袋は最初の一晩。この2階建てが基本形です。

残す12品、それぞれの理由

水は500mlを2本。2Lを入れると、それだけで2kgです。最初の一晩に必要なのは、飲む分と薬を飲む分。給水が始まれば、家の備蓄とタンクで補います。

携帯トイレは5回分。避難所のトイレは、着いた直後がいちばん使えません。断水で流せない、行列、暗い。自分の5回分があれば、初日の夜を越せます。人数×1週間分は家に置き、非常用トイレの記事で選んだ凝固剤で揃えてください。

ヘッドライトは、懐中電灯より軽くて、両手が空きます。予備電池を1組。選び方は防災ヘッドライトの記事にあります。モバイルバッテリーは10,000mAh(スマホ約2回分)を1台。大容量は重いので家に置きます。詳しくはモバイルバッテリーの記事で重さの計算をしています。

現金は小銭を多めに。停電でレジも自販機もカードが使えません。身分証はコピーで足ります。薬は、いつも飲んでいる物を数日分と、お薬手帳の最新ページをスマホで撮った写真。災害時は処方箋がなくても薬が出せる特例がありますが、「何を飲んでいるか」が分からないと出せません。薬の確保のガイドに、その仕組みを書いています。

軍手は、割れたガラスと倒れた家具のそばを通るための物。革や滑り止めつきなら、さらに安心です。アルミの寝袋は、毛布1枚分の暖かさを100g台で持てます。カサカサ音の少ない静音タイプを選ぶと、避難所で周りに気を使わずに済みます。ただし、これ1枚で冬を越す計画は立てないでください。理由は買わなくていい防災グッズの記事の9番に書きました。

レインポンチョは、雨具であり、防寒着であり、着替えの目隠しにもなります。傘より軽く、両手が空きます。衛生セットは、マスク、ウェットティッシュ、歯ブラシの3つで十分。避難所の感染症は、この3つで大半を防げます。

食べ物は1日分。しかも、食べ慣れた物。ようかん、ゼリー飲料、クラッカー。火も水も要らず、子どもと高齢の家族が口にできる物を。5年保存の非常食は、家の備蓄の担当です。試して合った物だけを、えいようかんのレビューのように1つずつ決めてください。

ホイッスルは、閉じ込められた時に声より長く助けを呼べます。家族の連絡先メモは、スマホの電池が切れた時の保険です。171の使い方も一緒に書いておくと、災害用伝言ダイヤルをその場で使えます。

外して家に置く物|捨てるのではなく「担当を変える」

リュックを重くしている犯人は、だいたい決まっています。2Lの水、3日分の食料、カセットコンロとボンベ、大きな救急セット、着替えの束、工具、ラジオ、大容量バッテリー。どれも防災に要る物です。要らないのではなく、担当が違います。

これらは「在宅避難」の担当です。家が無事なら、避難所に行かずに家で過ごすほうが、体も心も楽です。そのための1週間分の水と食料、トイレ、明かりは、玄関の袋ではなく、家の中の決まった場所に置きます。置き方と数え方は在宅避難の完全ガイドローリングストックの記事にまとめました。

車を持っている家は、車が3つ目の置き場所になります。毛布、水、簡易トイレ、乾電池式ラジオ。車中泊避難の備えは車中泊避難のガイドに、置く物の一覧があります。

逆に、そもそも袋に入れてはいけない物もあります。ろうそく、ガラスの容器、期限切れの薬。これは防災リュックに入れてはいけない物の記事にまとめてあります。

人によって足す「あと1品」

12品は、どの家にも共通する土台です。そこに、その人だけの1品を足します。高齢の家族には、予備の眼鏡と入れ歯、杖。これがないと、避難所で食べることも歩くこともできません。高齢者の防災の記事に詳しく書いています。

女性は、生理用品を1周期分と、防犯ブザー。避難所で最も手に入りにくく、最も言い出しにくい物です。女性の防災グッズの記事防犯グッズの記事にまとめました。赤ちゃんがいる家は、ミルクとおむつを1日分。支援物資で最初に届くのは大人向けの物です。赤ちゃんを守る防災の記事を見てください。ペットは、フード1日分とリード。ペットと一緒に逃げるガイドにあります。

重さの測り方と、置き場所

測り方は簡単です。体重計に乗って、リュックを持って、もう一度乗る。差が袋の重さです。女性で5kg前後、男性で7kg前後に収まっていれば合格です。10kgを超えていたら、右の列に戻す物がまだあります。

測ったら、実際に背負って、家の階段を1往復してください。息が切れるなら、まだ重い。そして置き場所は玄関か、寝室の出口の近く。奥の押し入れに入れた袋は、夜の地震では取りに行けません。玄関の置き方は防災ポストの記事に、5秒で持ち出す形を書きました。

まとめ|袋は一晩、家は一週間

持ち出し袋は「避難の最初の一晩」だけを担当させる。12品で足ります。1週間分は家に置き、車があれば車にも分ける。この2階建てにすれば、リュックは軽くなり、中身を言えるようになり、いざという時に本当に持って出られます。

今日できることを1つだけ。リュックを開けて、2Lの水か、3日分の食料か、大きな救急セットのどれか1つを出し、家の備蓄の場所に移してください。それで今日の防災は終わりです。中身をゼロから見直したい方は、防災リュックの中身一覧を横に置いて、この12品と照らしてみてください。

出典

  • 広島県「みんなで減災」防災グッズ一覧(重さの目安: 男性15kg・女性10kg) 広島県のページ
  • 内閣府(首相官邸)「災害の『備え』チェックリスト」(非常用持ち出し品と備蓄品の区分) PDF

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