買わなくていい防災グッズ10選|後悔しないために先に決める

買わなくていい防災グッズ10選|防災士が床に並べた防災グッズを選り分けている水彩イラスト

「防災グッズを買わなきゃとは思う。でも、買ったのに使わない物を増やして後悔したくない」。この記事は、そう思って手が止まっている方のための1本です。

結論を先に言います。備えは、買い足す前に「買わなくていい物」を先に決めると、お金と置き場所が浮きます。浮いた分を、断水で最初に困るトイレと水に回す。それだけで、家の備えは今より一段強くなります。

私は防災士として、100本以上の記事と動画で停電と断水への備えをお伝えしてきました。この記事は、当ブログの読者が実際に何を買ったかという実売のデータと、メーカーの仕様や公的機関の注意喚起を突き合わせて書いています。読み終わる頃には、「うちはこれを買わない」と言える物が10個、そして代わりに何をするかが1つずつ手元に残ります。

先に結論|買わなくていい10品と、代わりにやること

買わなくていい物 代わりにやること
1. 「6万mAh」級の格安ソーラー一体型バッテリー 10,000mAhを1台、常に充電しておく
2. スマホを充電するつもりの手回し充電器 乾電池式のラジオと、乾電池の予備
3. ろうそく・オイルランプなど火の明かり LEDランタンかヘッドライト
4. 中身を見ずに買う高額な防災セットの2つ目 中身の一覧と照らして、足りない物だけ足す
5. 食べたことのない非常食の箱買い 1個買って食べてから、合う物だけ増やす
6. 家中の水を「10年保存水」で揃える 普段の2Lペットボトルを多めに回す
7. 家庭用のガソリン発電機 ポータブル電源か、電気なしで過ごす前提の備え
8. 便器が使える家での、簡易便座の「先買い」 先に凝固剤と袋を人数×7日分
9. アルミシートだけで冬を越す計画 寝袋か毛布を主役に、アルミは補助
10. 10徳ナイフ・3in1の多機能ツール 使い慣れたキッチンバサミと単機能ライト

この表だけ保存しておけば、売り場やネットで迷ったときの判断に使えます。ここから1つずつ、理由と代わりの一手を書きます。

なぜ「買わない物」から決めるのか

防災グッズの後悔には、型が2つしかありません。「同じ物が2つある」と「一度も使わない」です。どちらも、買う前に「これは要るか」ではなく「これは他の物で代わりが効くか」と問えば防げます。

当ブログの読者が2026年8月に実際に買った物を見ると、はっきりした偏りがあります。23件のうち7件が非常用トイレで、報酬ベースでは6割がトイレでした。次に多かったのは水と、持ち出し袋そのもの。つまり、備えを本気で考えた人がお金を出すのは「断水で最初に困る物」です。逆に言えば、それ以外の物は、買う前に一度立ち止まってよい物です。

ここから紹介する10品は、「防災に役立たない物」ではありません。「今のあなたの家では、他の物で代わりが効く可能性が高い物」です。すでに持っている方は、捨てる必要もありません。これから買う方が、順番を間違えないための一覧です。

1|「6万mAh」級の格安ソーラー一体型バッテリー

「61,800mAh」「大容量ソーラー充電」という文字が大きく書かれた、数千円のモバイルバッテリー。これは買わなくていい物の筆頭です。理由は数字にあります。

モバイルバッテリーの重さは、容量とほぼ比例します。20,000mAhの製品は、大手メーカーの物でおおむね320g前後。この比率で60,000mAhを作ると、1kg近い重さになるはずです。ところが「61,800mAh」を名乗る格安品の多くは、300〜400g台で売られています。その容量は、その重さには物理的に入りません。実際に当ブログでも8月にこの型が1台売れていて、正直に言えば、読者に「別の物にしてほしかった」と思った1件です。

代わりにやることは1つです。10,000mAh(スマホ約2回分)を1台、いつも充電50%以上の状態で置いておく。容量の読み方と、信頼できる6台は防災用モバイルバッテリーの記事に、重さの計算つきでまとめました。

2|スマホを充電するつもりで買う「手回し充電器」

手回し発電つきのラジオやライトは、防災コーナーの定番です。ラジオとしては役に立ちます。買わなくていいのは、「これでスマホを充電すればいい」という目的で買う場合です。

手回しで生まれる電気はごくわずかで、数分回し続けて、通話が数分できる程度というのがメーカー各社の案内です。停電の夜に、家族の連絡のために30分ハンドルを回し続ける場面を想像してみてください。現実的ではありません。手回しは「電池が全部切れたときの最後の手段」であって、充電計画の中心には置けません。

代わりにやることは、乾電池式のラジオを1台と、単3・単4の乾電池を家族分のライトとラジオが3日動く数だけ置くことです。ラジオの選び方は防災ラジオの記事に書きました。手回し機能は「付いていれば安心」程度に考えて、乾電池で動くことを先に確かめてください。

3|ろうそく・オイルランプなど、火を使う明かり

「停電のときはろうそく」は、昔の常識です。地震のあとは、ガス漏れ、倒れた家具、散らばった紙や布の中で明かりを使うことになります。余震で倒れたろうそく1本が、家を失う原因になります。雰囲気のよいオイルランプも同じです。

代わりは、LEDのランタンとヘッドライトです。LEDは倒れても火が出ず、電池1組で何十時間も持ちます。両手が空くヘッドライトは、暗い中で片づけや子どもの世話をするときに、手持ちのライトより圧倒的に楽です。選び方は防災ヘッドライトの記事にあります。ろうそくが家にあるなら、非常用ではなく普段の楽しみに回してください。

4|中身を見ずに買う、高額な防災セットの「2つ目」

防災セットは、最初の1つとしては優れています。何を揃えればいいか分からない段階で、30点が一度に届くのは大きな安心です。買わなくていいのは、「不安だから」という理由で2つ目、3つ目を買うことです。

セットの中身は、ライト、簡易トイレ数回分、アルミシート、軍手、給水袋のように、どのセットもよく似ています。2つ買うと、ライトが2本になり、トイレは合計でも10回に届かず、水と食料は相変わらず足りない。同じ物が2つある、という後悔の典型です。

代わりにやることは、1つ目のセットの中身を紙に書き出して、防災リュックの中身一覧と照らすことです。足りない物だけを単品で足す。これが最も安く、最も抜けが少ない方法です。家族が増えて2つ目のリュックが要る場合は、リュック本体の選び方を読んでから、中身を分けて詰めてください。

5|食べたことのない非常食の箱買い

「5年保存・30食セット」を、味を知らないまま箱で買う。これも買わなくていい物です。理由は単純で、普段食べない物は、非常時にも食べられないからです。特に子どもと高齢の家族は、慣れない味を残します。5年後に賞味期限が来て、開けないまま捨てる。当ブログにも、その経験からたどり着いた方が多くいらっしゃいます。

代わりにやることは、気になる非常食を1個だけ買って、家族で食べてみることです。合った物だけを増やす。私が実際に3年以上食べ続けて書いたアルファ米のレビューえいようかんのレビューには、味の癖と、口に合わなかった場合の工夫まで書いてあります。そして、非常食より先に、普段の食べ物を少し多めに買って回すローリングストックを始めてください。こちらのほうが安く、捨てる物がゼロになります。

6|家中の水を「10年保存水」で揃える

長期保存水は便利です。ただし1本あたりの値段は普段の水の2〜4倍で、家族4人の1週間分(1人1日3リットルで84リットル)を全部それで揃えると、水だけで数万円になります。備えが「高いから後回し」になるなら、本末転倒です。

代わりにやることは、普段飲んでいる2リットルのペットボトルを1ケース多く買って、古い物から飲む。それだけです。実際に当ブログの読者も、8月に買った水はラベルレスの普段の水でした。長期保存水は「置きっぱなしにしたい場所(車・職場・実家)」に絞って使うと、費用が3分の1以下で済みます。必要な本数の数え方は防災の水は何本必要かの記事に、置き場所まで含めて書きました。

7|家庭用のガソリン発電機

「停電が長引いたら発電機があれば」と考える方は多いのですが、一般家庭には向きません。理由は3つです。ガソリンを家に何日分も保管することになる。屋内やベランダで回すと一酸化炭素中毒の危険があり、メーカーも消防も屋内使用を禁じている。そして音が大きく、夜に住宅地で回し続けるのは現実的ではありません。

代わりにやることは2つのどちらかです。ひとつは、燃料の要らないポータブル電源を1台持つこと。冷蔵庫や医療機器など「これだけは止められない物」がある家は、ポータブル電源の記事で容量の考え方から確認してください。もうひとつは、「電気なしで3日過ごす」前提で、明かりと情報と暖を電池と乾電池で確保することです。後者のほうが安く、多くの家庭ではこれで足ります。停電の最初の30分から3日間の流れは停電対策まとめに一本の道として書きました。

8|便器が使える家での、簡易便座の「先買い」

折りたたみの簡易便座や、段ボールのトイレ本体。断水の話を聞くと、まずこれを買いたくなります。でも、家の便器が壊れていなければ、便座は要りません。便器に袋をかぶせて、凝固剤を入れれば、それが非常用トイレになります。

先に買うべきなのは、凝固剤と袋です。目安は1人1日5〜7回、7日分で1人35〜49回。4人家族なら120回分でも1週間に少し足りない計算です。当ブログで8月に最も買われたのも、便座ではなく凝固剤と袋のセットでした。便座本体が要るのは、便器が使えない状況(マンションの排水管の損傷、車中泊避難)が想定される家だけです。何回分をどう揃えるかは非常用トイレおすすめ10選で、防臭力と1回あたりの値段を比べています。

9|アルミシートだけで冬を越す計画

防災セットに必ず入っている銀色のアルミシート。軽くて安く、体の熱を反射して逃がしにくくします。ただしこれ1枚で冬の夜を乗り切るのは無理です。薄いので床の冷えは防げず、通気しないので中で汗が結露して、明け方には濡れて冷えます。「家族分のアルミシートを買ったから冬は大丈夫」という計画が、いちばん危ない備えです。

代わりにやることは、寝袋か普段の毛布を主役にして、アルミシートを毛布の外側に巻く補助に回すことです。床からの冷えは、段ボールや銀マットを敷くだけでかなり変わります。冬の停電で命に関わるのは寒さなので、この項目だけは「買わない」より「買い方を変える」と読んでください。選び方はアルミブランケット・寝袋の記事と、冬の防災ガイドにあります。

10|10徳ナイフ・3in1の多機能ツール

ナイフ、缶切り、ドライバー、はさみが1本になった多機能ツール。ライトとラジオとサイレンが1つになった3in1。「これ1つで全部」に見えて、実際には、どの機能も中途半端で使いにくいのが正直なところです。小さな缶切りで缶を開けるのは大人でも一苦労で、暗い中で使う気にはなれません。

代わりにやることは、使い慣れた道具を1つずつ持つことです。台所のキッチンバサミは、缶のふたを持ち上げ、パックを切り、包帯を切り、袋を開ける。避難生活で最も働く道具のひとつです。使い道はキッチンバサミの記事にまとめました。ライトも、多機能の1本より、単機能のヘッドライトを人数分のほうが確実です。

逆に、先に買うならこの3つ

「買わない」だけでは備えは進まないので、順番も書いておきます。当ブログの読者の実売と、断水・停電で困る順番から、先に揃えるのは次の3つです。

順番 理由
1 非常用トイレの凝固剤と袋(人数×7日分) 断水で最初に困る。読者の実売でも最多
2 水を運ぶ袋か折りたたみタンク 給水車が来ても、運ぶ物がないと持ち帰れない
3 ヘッドライトと乾電池 両手が空く。ろうそくの代わりになる

3つ合わせても1万円前後で収まります。買わなくていい10品で浮いたお金は、ここに回してください。水を運ぶ道具はウォータータンク・給水袋の記事で比べています。

まとめ|「代わりが効くか」を先に問う

買わなくていい10品に共通するのは、「不安なときほど買いたくなる物」だということです。大容量の数字、手回しの安心感、これ1つで全部という言葉。不安に効く売り文句ほど、本番では働きません。買う前に「これは、家にある物で代わりが効くか」と一度問うだけで、後悔の大半は消えます。

今日できることを1つだけ。家にある防災グッズを1つ手に取って、この記事の表と照らしてください。「これは買い足さない」と決められた物が1つあれば、今日の防災は終わりです。次に買う物が決まっている方は、非常用トイレおすすめ10選から、人数×7日分の凝固剤を選んでください。

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